「焼き鳥」と「やきとり」の違いとその理由とは?

じめじめとした梅雨明けも近づき、夏本番がやってきます。そんな暑い季節にぴったり!今や日本になくてはならない食べ物として人気の焼き鳥があります。

赤ちょうちんにのれん、そして食欲をそそる、あの煙。「焼き鳥屋」を愛する人は多いことでしょう。日本中の駅周辺には至る所に軒を連ねて炭火の香りがたまりません。

今回はお酒の肴に、そんな焼き鳥の美味しいトリビアをお届けします。

焼き鳥の歴史を見てみよう

 鳥肉を焼いて食べる習慣は古代からありましたが、現在のような形の焼き鳥が産まれたのは江戸時代。1682年の料理本「合類日用料理抄」に焼き鳥のレシピが掲載されています。この頃の焼き鳥は、キジの肉を使う事も多かったようです。

そもそも鳥肉は大正時代まで、食肉の中で最も高価な肉でした。その後もブロイラーが登場する昭和30年代まで鳥肉は全国的に高く、「焼き鳥」は庶民には“高嶺の花”だったといいます。

終戦直後の昭和20年代に室蘭(北海道)や東松山(埼玉)、久留米(福岡)などの地域から、鳥肉ではなく豚肉を使ったものを「やきとり」とするよう、求める声が上がったのが「やきとり」の始まりだそう。

 明治に入ると焼き鳥の屋台が登場し、高度経済成長の時代の昭和30年代にアメリカから安価なブロイラーが入ってくるようになると、焼き鳥は大衆料理として一気に日本中に浸透していきました。

「焼き鳥」と「やきとり」の違いとは?

 ところで、「焼き鳥」と「やきとり」の違いをご存知でしょうか?

漢字で書く「焼き鳥」はあくまで「鳥肉(内臓含む)を串に刺して焼いた料理」ですが、平仮名の「やきとり」は鳥肉以外にも、牛や豚、馬などの肉(内臓含む)を串に刺して焼いた料理で「焼き鳥」よりも包括的な言葉。

辞書も「やきとり」をそのように定義しています。この違いがあるそうです。豚肉、牛肉、馬肉など、「やきとり」の具材は地域によっても様々で、鳥以外の肉を使う方が一般的という地域もあるようです。

 「日本三大やきとり」と呼ばれる街は、埼玉県東松山市、北海道室蘭市、愛媛県今治市ですが、東松山市では豚肉のカシラ肉にみそだれをつけたもの、室蘭市では豚肉とタマネギに甘いタレをつけた後に洋がらしをつけるもの、今治市では鶏肉を使うが、炭火ではなく、斜めに作られた鉄板で焼いたものを「やきとり」と呼んでいます。

お店の人は違いを意識していない?

 つまり何を材料に使ってもいい「やきとり」ですが、全国には以下のような珍しい「やきとり」があります。

・エゾシカ肉を使った「阿寒やきとり丼」(北海道・釧路)

・馬肉(福岡・久留米ほか)

・ししゃも(福岡・久留米、福岡・博多ほか)

・豚カシラ(埼玉・東松山)

・豚バラ(北海道・函館、東海地方)

ちなみに焼き鳥屋さんは実際に、「焼き鳥」と「やきとり」の区別を意識して店名などをつけていないことが多いようです。そうした“ルール”が存在するわけではなく、「焼き鳥屋」で鳥肉以外が出されることもあり、「やきとり屋」で鳥肉しか出されないこともあるようです。

焼き鳥に使われる様々な部位とは?

 焼き鳥といえば、種類が豊富なのも魅力のひとつ。

一部を紹介すると、最も一般的な「もも」、尾骨の周りの筋肉を使う「ぼんじり」、肝臓を使う「レバー」は脂肪肝のものを「白レバー」と呼びます。
 
 他に、心臓を使う「ハツ」、鳥には胃袋と筋胃があり、筋胃を使うのが「砂肝」、ひき肉を使って作る「つくね」は首の肉を使う場合が多いですが、お店によって様々な個性が出ます。「皮」は首の部分の皮、「軟骨」は胸骨の先端か膝の部分の軟骨を使用するのが一般的です。

 また焼き鳥の定番中の定番「ねぎま」の“ま”は、実はまぐろの“ま”だという事はご存知でしたか? 元々はネギとマグロ肉を串焼きにしていたものを指して「ねぎま」と呼んでいたものが、鶏肉のものにもそのまま使われて定着したのだそうです。

まとめ

今回はこれからの季節にぴったりな焼き鳥のトリビアをお届けしました。

今ではチェーン店も安くてコスパの良い美味しいお店が増えてきましたよね。スーパーやデパ地下などのお惣菜でも本格的な味が楽しめます。

しかしながら商店街に佇む昭和レトロな赤提灯は風情があります。ぜひお店を選ぶ際には、『焼き鳥』と『やきとり』の区別だけではなく、『博多、、、』『久留米、、、』といった地域の名称なども注目して利用されてはいかがでしょうか?

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