ネットショップで食品を販売するには、「食品衛生責任者」資格の取得と「食品衛生法に基づく営業許可」が必要です。
取得方法はそれほど難しくはありません。規定の手順に従って手続きを行えば、1日足らずでほぼ確実に取得できます。
今回は、「食品衛生責任者」と「食品衛生法に基づく営業許可」の詳細や取得方法などについて詳しくご紹介します。また、食品を販売する際のラベル表示義務についても解説しますので、食品のECサイト開店準備にぜひお役立てください。
ご不明な点はお気軽にフォリビーまでお問い合わせください^^
※食品衛生責任者の設置の要否及び資格の取得方法等、並びに食品衛生法に基づく営業許可の要否等については、各都道府県等の条例や運用ごとに取扱いが異なる可能性があります。こちらの記事では東京都での条例及び運用を説明しているので、他の地域の条例及び運用とは内容が該当しない場合がある点ご了承ください。
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食品のネット販売に必要な許可や資格とは?
インターネットで食品を販売する際に必要なのは、一部例外を除いて、食品衛生責任者の資格と、食品衛生法に基づく営業許可です。
※そのほか各都道府県が定める条例もご確認ください
ゼロからのスタートなら食品衛生責任者資格をまず取得
すでに実店舗で飲食店を営業している場合、食品衛生責任者の資格は取得しているはずなので、必要に応じて、食品衛生法に基づく営業許可を新たに取得すれば大丈夫です。
実店舗で飲食店を営業しているわけではなく、ゼロから食品のインターネット販売をスタートする場合、まずは食品衛生責任者資格を取得します。「食品衛生責任者とは?」の章からチェックしてください。
食品衛生法に基づく営業許可が必要な場合
以下のようなケースでは、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。「手作り」は基本的に許可が必要だと考えましょう。
- 自宅で食品を作って販売したい
- 食品を製造販売する事業を新たにスタートしたい
- 仕入れた食品をインターネットで売りたい
- すでにカフェを営業中で、インターネット通販でオリジナルスイーツを売りたい
たとえばカフェを営業していれば、すでに飲食店営業許可証はありますよね。ですが、インターネット販売の際には、食品衛生法に基づく営業許可が別途必要となる場合があります。店舗の所在地を所管する保健所にご相談して必要となる営業許可についてご確認ください。
また、インターネット販売がOKかどうかは、最終的には保健所の判断をあおぐべきです。販売する商品についても、管轄の保健所の確認を通しましょう。
食品衛生法に基づく営業許可とは?
「食品衛生法に基づく営業許可」が必要になる業種とは?
「食品衛生法に基づく営業許可」が必要になるのは、以下の34業種です。
ただし、都道府県条例に基づいて営業許可が必要(食品衛生責任者が必要とされる場合もあります。)とされる食品がこの他にもあります。原則として、食品販売において許可が必要となるかどうかはネットショップ所在地を管轄する保健所へお問い合わせください。
※たとえば、調味料や粉末食品の製造等は条例により営業許可が必要です。(食品製造業等取締条例第5条の3)
調理業 | 飲食店営業喫茶店営業 |
製造業 | 菓子製造業あん類製造業アイスクリーム類製造業乳製品製造業食肉製品製造業魚肉ねり製品製造業食品の冷凍又は冷蔵業清涼飲料水製造業乳酸菌飲料製造業氷雪製造業食用油脂製造業マーガリン又はショートニング製造業みそ製造業しょう油製造業ソース類製造業酒類製造業豆腐製造業納豆製造業めん類製造業そうざい製造業かん詰又はびん詰食品製造業添加物製造業 |
処理業 | 乳処理業特別牛乳さく取処理業集乳業食肉処理業食品の放射線照射業 |
販売業 | 乳類販売業食肉販売業魚介類販売業魚介類競り売り営業氷雪販売業 |
食品を扱っていても、営業許可が不要な場合も
食品を扱っていても、以下の場合は「食品衛生法に基づく営業許可」は必要ありません。(※ただし都道府県条例に基づく営業許可が必要となる場合がありますので、管轄する保健所へお問い合わせをして下さい)
- 許可を受けている施設で作られたパック入りの商品を販売する場合
- 仕入れたスナック菓子などをそのまま販売する場合(※小分けしたり詰めなおしたりする場合には、食品の種類に応じた保健所の営業許可が必要)
- 缶やペットボトルに入ったジュースやビールなどをそのまま販売する場合(※グラスやコップに注いで販売する場合は許可が必要)
- 農産物を販売する場合
- 容器に入れられた温度管理が不要な食品だけをそのまま販売する場合
「食品衛生法に基づく営業許可」を申請する際の流れ
東京都の場合を例に、「食品衛生法に基づく営業許可」を申請する流れを見ていきましょう。
(1) 事前相談 | 施設の工事着工前に図面などを持参のうえ、必ず保健所へ相談する |
(2) 営業許可申請(書類の提出) | 施設完成予定日の10日くらい前に以下の書類を保健所に提出する 。 ・営業許可申請書 ・営業設備の大要 ・配置図(2通) ・許可申請手数料 ・登記事項証明書(法人の場合のみ) ・水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合のみ) ・食品衛生責任者の資格を証明するもの |
(3) 施設検査の打合せ | 保健所の担当者と施設の確認検査の日程などについて相談する。 |
(4) 施設の確認検査 | 保健所で営業許可書の交付を受ける |
(5) 営業開始 | 営業を開業する際は、食品衛生責任者の名札(幅10cm以上×高さ20cm以上)を施設内に掲示する ※施設基準は営業の種類によっても異なるので、詳しくは管轄の保健所へ問い合わせてください。 |
参考:東京都福祉保健局
食品衛生責任者とは?
食品衛生責任者とは、食品の製造や販売、飲食店といった、食品に関する事業運営で必要な資格です。食品衛生法に定められた営業許可施設ごとに配置が義務付けられています。
主な役割としては、以下の内容が挙げられます。
施設の整備や食品の取り扱いなどの衛生管理食品衛生上の不備や不適事項を発見した際の改善措置施設営業者への改善措置の進言食品を衛生的に取り扱うため、従事者に衛生教育を行う食品衛生責任者「実務講習会」の受講 ※食品衛生責任者「実務講習会」とは、食品衛生の普及啓発を目的とした講習会です。 |
食品衛生責任者になれるのは、次に挙げる資格を持つ人です。
調理師、製菓衛生師または栄養士の資格を持っている人「食品衛生管理者」の資格要件を満たしている人 (※1食品衛生責任者と食品衛生管理者は名称こそ似ていますが、違う資格です) (※2畜場法に規定する衛生管理責任者及び作業衛生責任者、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士も該当します)管轄の市町村や都道府県などで開催される「食品衛生責任者資格者養成講習会」を修了した人※乳類販売業・氷雪販売業に関しては、食品衛生責任者となるための資格は不要です。 |
より詳しい情報は、厚生労働省の資料が参考になります。食品衛生者について(現行の取り扱い)
ネットショップで食品衛生責任者が必要になるケース
食品を販売するネットショップを開業した場合、基本的には「食品衛生責任者」と「食品衛生法に基づく営業許可」の設置が必要です。食品衛生責任者は許可施設ごとに置くことが食品衛生法施行条例で定めらています。
ただし、食肉製品製造業など、別途「食品衛生管理者」を設置することが義務付けられている業種の場合は、食品衛生責任者の設置は必要ありません。食品衛生管理者は、食品衛生責任者も兼務できるからです。
食品衛生管理者の詳細については、厚生労働省のこちらのページが参考になります。
食品衛生責任者資格の取得方法や受講資格・費用・難易度
食品衛生責任者資格を管轄しているのは、営業所の所在地にある保健所です。取得方法や受講資格・費用・難易度をご紹介します。
受験資格 | 17歳以上(※現役の高校生は除く。また、各都道府県によって異なるので受講予定の都道府県の規定をご確認ください。) |
取得方法 | 都道府県によって異なりますが、講義は毎月実施されており、基本的には1日6時間(衛生法規2時間・公衆衛生学1時間・食品衛生学3時間)の講習受講で取得できます。 |
受験費用 | 都道府県によって異なりますが、テキスト代を含め8,000円~10,000円程度です。食品衛生責任者名札が必要な場合は、講習会場にて、700円〜800円程度で購入できます。(※都道府県によって様式は異なります) |
合格率 | 講習を受ければ100%取得できます。 |
食品衛生責任者の取得方法の詳細については、管轄の保健所への問い合わせをおすすめします。保健所管轄区域案内のページで、管轄の保健所を探してみましょう。
ラベルの表示義務について
食品販売の際には、法律に基づいた表示が必要です。かつては、以下の3つの法律に基づいて表示ルールが決められていました。
- JAS法:
原材料・原産地など、品質に関する一定の表示を義務付け、消費者が選択しやすいようにする法律です。 - 食品衛生法:
飲食が原因で危害が発生することを防ぐ、食品の安全確保のための法律です。 - 健康増進法:
健康維持と現代病の予防が目的の法律です。
関連する法律ごとにまとめると、以下のようになります。
スナック菓子を例に挙げれば、原材料名・内容量はJAS法に基づく表示事項で、原材料名のなかの「小麦を含む」「かに・えびを含む」などアレルギーに関する表示は食品衛生法に基づきます。
「賞味期限」「遺伝子組換えでない」などの表示は、両法にまたがる表示事項です。そして、主要栄養成分としてカロリーと各種栄養成分が表示されるのは、健康増進法に基づきます。
現在は、食品の表示に関する規定が「食品表示法」としてひとつにまとめられ、具体的な表示ルールが一元化。よりわかりやすくなっています。
品質や安全に関する義務表示
消費者が品質を判断する表示や、アレルギーや添加物など健康を管理する際に判断基準となる表示については、原則として表示することが義務付けられておりますのでご注意ください。
カロリー等の栄養表示は原則義務
食品の栄養表示は、加工食品や添加物に関しては、以下5つの栄養成分表示が必須です(業務用は任意)
- カロリー(熱量)
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
- ナトリウム(食塩相当量で記載)
ただし、以下に該当する場合には表示義務はなく表示は不要です。
- 容器包装の表示可能面積が30㎠以下ほどのもの
- 酒類
- 栄養の供給源としての役割の程度が小さいもの
- 極めて短い期間で原材料が変更されるもの
- 消費税免除事業者、または、中小企業基本法が規定する小規模企業者が販売するもの
まとめ
まとめると、ネットショップで食品販売をするには、「食品衛生責任者」の資格と「食品衛生法に基づく営業許可」を取得が必要で、食品衛生責任者資格は講習会に参加するだけですし、食品衛生法に基づく営業許可は保健所で説明されたとおりに施設を整えれば取得できます。
ネットショップの開業スケジュールに合わせて資格・許可は問題ないかと思います。
一方でお客様へのお届けする商品であるため、最終確認として保健所の判断をあおぐことで、ショップとお客さまの間に安心感を持った快適なお買い物のお時間を提供していきましょう^^
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