ネット記事やビジネス書を読んでいるときは「〜です/〜ます」を、論文や小説を読むと「〜だ/〜である」を目にすることがあります。そしていざ自分が文章を書くとき、どちらの語尾で書くべきか迷うことも多いでしょう。
そこで今回は「ですます調」と「だ・である調」の違いと、文章を読みやすくするための正しい使い方を調べてみました。
「ですます調」と「だ・である調」の意味と使い分け
まずは「ですます調」と「だ・である調」の意味を改めて見てみましょう。
「ですます調」とは、文末を「〜です」「〜ます」などの丁寧語に統一する文体のこと。読み手に丁寧で柔らかな印象を与えます。
「だ・である調」とは、文末で敬語を使わず「〜だ」「〜である」と書く文体のこと。「ですます調」よりも強い断定形になり、やや堅い印象を与えます。
それぞれの正式名称
文体は「ですます調」「だ・である調」と呼ばれることが多いですが、実はちゃんとした正式名称があります。
- ですます調=敬体
- だ・である調=常体
「ですます調」は敬語を使っているので敬体。一方で「だ・である調」は実は“普通の文章様式”と定義されていることから、常体という名称です。
幼児は「〜だよ」と常体で会話しますが、小学生になると敬体を学び始めます。そして中学生や高校生は場面・目的・相手によって敬体と常体を使い分けることを学び、正しい使い方を身に付けていくのです。
文中では統一するべき理由
敬体と常体を混在するのはタブーです。文章のリズムがバラバラになり、かなり読みにくくなってしまうシンプルな理由です。必ずどちらかに統一する必要があります。
しかし混在がいけないの理由はそれだけではありません。文章は読み手に、情報だけでなく感情も与えます。
敬体には柔らかい印象があり、スラスラと読み進められるため、読み手にも優しい文章だと言えるでしょう。
常体は堅苦しい印象がありますが、断定形ゆえに読み手により強い感情を与えたり、心構えを持ってもらったりできるでしょう。
性質が真逆とも言える2つの文体が混ざると読み手は混乱してしまいます。自分の目的に合わせ、どちらかに統一するのが基本です。
論文・レポート・感想文などでの使い分け方
文体の使い分けは、この媒体はどちらかに統一した方がいいのか?は相手の立場や状況によって異なったり、書き手の個性によるところもあります。
そこで使い分け方についてまとめました。
敬体(ですます調)
- 解説文、説明文
- 文書
- ビジネス書
常体(だ・である調)
- 論文(卒論)
- レポート(報告書)
- 感想文
- 小説
- ニュース記事
- 雑誌
どちらの文体でも使える
- 個人ブログ
- 体験談
ただ、ニュース記事が敬体で書かれることも少なくありますし、逆にビジネス書が常体で書かれていることも少なくありません。目的や媒体に合わせて、どちらでも書けるようにしておくといいですね。
ですます調の使い方
続いて敬体のもっと具体的な使い方やコツ、ポイントなどを解説します。
「ですます調」と呼ばれている通り、基本的に文末は「〜です」「〜ます」で句点が付きます。
敬体の中に常体を混ぜないのがルールなのですが、例えば箇条書きやカギ括弧で囲まれた会話文であれば、例外的に常体を使うのは問題ありません。
「〜ました」「〜ください」も敬語=敬体
敬体は「〜です」「〜ます」だけではありません。例えば次のような文末も敬語にあたるため、敬体として使われます。
「〜ました(過去形)」
「〜ください(命令形)」
「〜ません(否定形)」
「〜かもしれません(仮定形)」
「〜でしょう(未然形)」
リベ杜の文章は基本敬体で書いていますが「ですます」以外が使われていることに気付いた人もいるでしょう。
「〜だ」「〜である」の常体を丁寧に表現したものが敬体になります。
語尾のバリエーション
敬体だと語尾のバリエーションが限られるため、単調な文章になってしまったり「〜ます」が何度も連続して読みにくくなったりするデメリットがあります。
そこで、敬体でも使える語尾のバリエーションをご紹介します。
①念押し
「〜よね」を加えることで、より柔らかな印象になります。しかし多用しすぎると押し付けがましくなるので注意しましょう。
②体言止め
体言止めとは文末を名詞で終わらせること。文章に変化が出て、グッと読みやすくなります。⇨別記事『体言止めによる効果について解説』
③疑問型・提案型
「〜ではないしょうか?」「〜はいかがでしょうか?」といった文末は、読み手に疑問を投げかけたり提案したりできるので、読み手がふと考えるきっかけにもなります。
④倒置法
「鳴かぬなら泣くまで待とう。ホトトギス」は、あえて語順を入れ替える倒置法を用いています。読み手に強い印象を与えられる表現技法です。
ですます調を使った例文
「ですます調」や敬体でも使える語尾のバリエーションを用いた例文をご紹介します。
『私は夏が好きです。
特に好きなのが、夏の夕焼け。
夕暮れのセミの鳴き声とそよ風は気持ち良いですよね。
気分がノスタルジックになる人も多いのではないでしょうか?
私は田舎か離島に移り住もうと考えています。
1年後には必ず移住します。石垣島に。』
だ・である調の使い方
続いて常体の使い方やポイントについて解説します。
常体は“普通の文章様式”と定義されていますが、実際のところあまり慣れ親しんでいないかもしれません。普通に生活していると、本記事を含め敬体の文章を読むことの方が多いからです。
しかし、敬体から敬語や丁寧語を取り除いたものが常体だと意識するとそう難しくはありません。例えば、次の敬体を常態に変えてみましょう。
「明日は雨の予報が出ています」
→「明日は雨の予報が出ている」
「私は日本人です」
→「私は日本人だ」
「天才とは努力を続けられる人のことです」
→「天才とは努力を続けられる人のことである」
常体は必ずしも文末が「〜だ」「〜である」で終わるとは限らず「〜いる」「〜た」「〜だろうか」と多くのバリエーションがあります。
常体で文章を書くときには、うっかり「〜です」と敬体を混ぜそうになりますが、その点にさえ注意すれば自由な文末で締めることができます。
「だ調」と「である調」は別物?
実は「だ調」と「である調」は正確には別物です。具体的には次のようになります。
だ調
「〜だ」
「〜だから」
「〜だろう」
「〜ないだろうか」
である調
「〜である」
「〜であるから」
「〜であろう」
「〜ないであろうか/なかろうか」
政府などの公的な文章では上記のようにしっかりと区別されていますが、一般人が常体で書いた文章は混在していることが多いです。これらの違いも1つの知識として覚えておくと良いでしょう。
だ・である調の接続詞
「だ調」「である調」の混在で注意すべきは文末だけではありません。「〜である。だから…」のように「である調」の文末に続いて「だ調」の接続詞が混在していることも多いです。
しかし世の中には「だ調」「である調」が混在した文章なんていくらでもあります。混在しているからといっても特に読みにくさは感じませんよね。
読み手に伝わることが第一優先事項ですから、厳しく「だ調」「である調」を区別する必要性がなければ、寛容に受け入れていくのが良いでしょう。
まとめ
敬体の「ですます調」と常体の「だ・である調」について話しました。書く相手や状況で、どちらを使うのが適切かも変わってきます。
正しく使い分けるためには、まず相手を思い浮かべて、自分がどのタイプの文章を書くのかを明確にし、それぞれに適した文体で書き進めることで快適な読みやすい文章を作っていきましょう^^
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