働けなくなったときが続き収入がなくなってしまい、生活費が不足してしまうのが心配です。そんなときに備えられるのが就業不能保障保険です。
就業不能保険は、「働けなくなったときに備えるため」のもので、の比較的新しい保険です。そのため医療保険や死亡保険などと比べ、必ずしも情報が充実・整理されているわけではありません。
また、各保険会社も就業不能保険についてはまだ暗中模索の段階にあり、各社で保障内容にバラツキが見られることも、就業不能保険の全容を見えにくいものにしているのは確かでしょう。
実際、「よし!就業不能保険を選ぼう!」と思い立ったとしても、医療保険や死亡保険ほど情報も整理されていないため、一体なにを基準に自分にあった就業不能保険を選べば良いのか途方に暮れている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は「就業不能保険」を分かりやすくお伝えしていきます。
就業不能保険とは?
病気やけがなどで働けない状態が続いたときに、給付金を受け取れる保険です。
保険料もお手頃で、月額1,000~2,000円程度で加入できます。
一般に、就業不能となれば直ちに受け取れるわけではなく、一定期間経過後に給付が開始されることが多いです。給与のように毎月一定金額受取るタイプ、一時金で受取るタイプなど給付方法も保険によって異なります。
なお、就業不能状態は入院している間、医師の指示を受けた自宅療養を行っている間等を指します。うつ病など精神疾患は対象にならないこともあります。
例えば、25歳のときに就業不能状態になったら毎月20万円給付される月額保険料3,000円の就業不能保険に加入したとします。40歳で指定の就業不能状態となり60歳まで続いたとき、対象外の期間は受け取れないですが、40歳までの支払保険料は90万円、受給できる総額は4,800万円になります。そして、この給付金は非課税です。
就業不能になると受けられる公的保障
病気やけがで働けなくなったときに受け取れるのが、「傷病手当金」「障害年金」です。
■傷病手当金
加入する健康保険から給付される制度で、業務外の病気やけがで入院または自宅療養のため働けなくなったときに給付されます。
<受給金額>
1日あたり支給開始前の1年間の標準報酬月額の平均÷30日×2/3
例えば、年収400万円の方なら標準報酬月額が34万円にあたるので、34万円×2/3=22.67と約23万円毎月受給でき、最長1年6ヶ月間受け取れます。
ただし、この傷病手当金の制度は、会社が加入する健康保険組合や協会健康保険組合の制度で、自営業やフリーランスの方が加入する国民健康保険にはこの制度がありません。
なお、業務上の通勤途中での病気やけがの場合には、労働災害補償保険(いわゆる労災)で補償されることになるため、労働基準監督署に請求することになります。
休業の1~3日目までは会社が平均賃金の60%を支払う義務があり、休業の4日目から労災から給付されます。業務上の病気や事故が発生した日または医師の診断により疾病が確定した日の直前3ヶ月の賃金総額(ボーナス除く)の1日あたりの平均日額にした金額の60%の「休業(補償)給付」と20%の「休業特別支給金」を休業期間中受取ることができます。
■障害年金
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
障害基礎年金は、自営業やフリーランスの方が対象となります。
病気やけがなどにより仕事に制限が出てしまう状態になったときに年金形式で受け取れる国からの給付金です。初診日から1年6ヶ月経過後から受給できます。
<障害基礎年金の受給金額>令和2年4月~
・1級 年額781,700円×1.25+子の加算
・2級 年額781,700円+子の加算
第1子・第2子 各224,900円、第3子以降 各75,000円
一方、会社員等厚生年金に加入している方が障害状態となったときは、障害厚生年金を受給できます。また、障害基礎年金の対象となる障害等級1級・2級に該当する場合には障害基礎年金も合わせて受取れます。
<障害厚生年金受給金額>
・1級 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額(224,900円)
・2級 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額(224,900円)
・3級 報酬比例の年金額 最低保障額年額586,300円
(配偶者の加給年金は配偶者が老齢厚生年金、退職共済年金、障害年金を受給中は支給停止)
障害基礎年金には配偶者加算がないのに対して、障害厚生年金には配偶者加算があり、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が受給できます。
一方、業務上の病気やけがで障害状態になってしまったときには、障害等級に応じて1級から7級まで「障害(補償)給付」「障害特別支給金」「障害特別年金」、8級から14級までが「障害(補償)一時金」「障害特別支給金」「障害特別一時金」が受け取れます。障害年金と合せて受給している場合に労災の給付が減額されます。
住宅ローンや既加入保険に保障がある場合も
住宅ローンに保障を付加することができます。住宅ローンに就業不能となった場合に住宅ローン全額または就業不能期間中の月額返済料分の金額が保障される保険が付加されていることもあります。
また、医療保険等に就業不能保険が付加されていることがあります。
こんな方は加入がおすすめ
会社員の方が就業不能となった場合には、健康保険や厚生年金からの手厚い保障があります。
短期的な就業不能はともかく、長期で就業不能になる可能性は非常に低く、就業不能保険の支払保険料は毎月2,000円程度と安いですが、20歳から60歳まで支払うと96万円に上るため、慎重に考えましょう。
一方、自営業・フリーランスの方は就業不能となった場合に、傷病手当もなく、障害状態となったときには障害基礎年金しか受給できないことから、元気に働いていたときの収入から激減してしまう可能性があります。
また、住宅ローンは就業不能となった場合でも支払いが免除となるわけではないため、就業不能時や病気になったときに返済免除になる等の保障がない方は、就業不能で収入が減ったときに返済に困ってしまう可能性があります。
自分が働けなくなったときの公的保障や収入状況に合わせて就業不能保険に加入しておくと良いでしょう。特に、上記のような自営業・フリーランス、住宅ローンに死亡以外の保障がない等の条件に当てはまる方には加入を検討するのがおすすめです^^
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