LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、それぞれの英語の頭文字からとったセクシャルマイノリティの総称です。昨今、生まれながらの性別にとらわれない性別のあり方が見直され、世界中で同性間の結婚や、結婚と同様の権利を認める動きが活発化してきています。
今回は、この機会にぜひ知っておきたいLGBTの基礎知識と制度について調べてみました。
LGBTとは?
LGBTとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)の頭文字をとった単語で、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつです。
2015年の調べでは、日本におけるLGBTの割合が人口の7.6%存在すると言われています。これは、左利きやAB型の人よりも多い割合となります。
トランスジェンダーには出生時の身体の性別によってMtF(Male To Female)やTrans woman 、FtM(Female To Male)やTrans manという表現も用いられます。
定義
LGBTとは、性的少数者の総称を言います。 「レズビアン(女性同性愛者)」、「ゲイ(男性同性愛者)」、「バイセクシュアル(両性愛者)」、「トランスジェンダー(性別越境、性別違和)の頭文字をとって名付けられました。
とくに、トランスジェンダーの概念は幅広く、心の性別と体の性別が一致しない方は、FTM(Female To Male=女性から男性)やMTF(Male To Female=男性から女性)と呼ばれ、心の性別がなく、無性・中性として生きている方は、FTX(Female To X)やMTX(Male To X)と、細かく分類されます。
これらの呼称は、自らのことをポジティブに語る用語として北米・ヨーロッパで生まれ、現在では世界中で使われています。
性の区分とは?
性について考えるとき、単純に「男性/女性」だけではなく、主に以下の3点で考えられます。
身体的な性
性器、性腺、染色体などの身体的特徴で分けられる性のことです。
精神的な性別(性自認)
自分自身はどんな性だと思うか、ということ。
男性だと思う人、女性だと思う人、中性だと思う人、性別は決めたくないという人、など、様々です。
対人的な性別(性的指向)
好きになるかならないか、なるとしたらどんな性の人を好きになるか、ということ。
異性を好きになる人、同性を好きになる人、どちらの性も好きになる人、性別で好きになる人を決めたくないという人、特定の誰かを好きにならないという人、など、様々です。
LGBT以外のマイノリティ
LGBTは「レズビアン」、「ゲイ」、「バイセクシュアル」、「トランスジェンダー」の4つに限られた名称になり、その他のマイノリティは含まれていません。
例えば、
・インターセックス(I)=性分化疾患。性腺や染色体、外性器の形状などが、解剖学的に男性/女性の身体はこうであるという固定観念とは生まれつき異なる状態
・アセクシュアル(A)=無性愛者(同性も異性も好きにならない)
・クエスチョニング(Q)=自分の性別や性的指向に確信がもてない、または決めることに不安を感じている状態
などのマイノリティがあります。
自らがLGBTを告白した芸能人
日本ではタレントのはるな愛さんや佐藤かよさんなどは、自身がLGBTであることをカミングアウトしています。GENKINGさんは、ゲイであることを公表しています。
また、お笑い芸人では鳥居みゆきさんがレズビアンを告白し、江頭2:50さんやメープル超合金のカズレーザーさんなどもバイセクシュアルであることをカミングアウトしています。
海外では女優のジョディ・フォスターやエレン・ペイジがレズビアンであることをカミングアウトしています。アップルCEOのティム・クックや、シンガーソングライターのエルトン・ジョンなどの文化人もゲイであることをカミングアウトしています。
日本におけるLGBTへの対応
法務省のHPでも多様性への理解を求めています。
現状と課題とは?
2017年3月、日本政府はいじめ防止基本方針の改訂を行い、LGBT生徒の保護の項目がはじめて盛り込まれました。これに先立ち、2016年には教職員向けに、LGBT生徒への対応を記した手引きも発行しています。
しかし、実際はいまだにLGBTに対する差別やいじめがあるのが現状です。 また、異性カップルと同等の権利が法的に保障されていない点も課題のひとつ。
2015年に東京都渋谷区議会で、同性カップルに対し結婚に準じる関係と認める「パートナーシップ証明」の発行が可決されたことを皮切りに、いくつかの市区町村で実施されるようになりましたが、いずれも条例や要綱での実施であり、法的な拘束力はありません。
例えば、同性パートナーへの遺産の相続権がないことや、レズビアンカップルやゲイカップルへの生殖医療の適応など、法的整備や受け入れ体制が進んでいないことも大きな課題です。
カミングアウトへの不安
前述したことを踏まえてみても、いまだ日本でのLGBTのカミングアウトにはハードルが高いのが現状です。
日本労働組合総連合会が実施した「LGBTに関する職場の意識調査」によると、職場に同性愛者や両性愛者がいることに抵抗を感じる人は、3人に1人というデータがあります。また、男女別にみると、抵抗を感じる人の割合は男性が女性の約2倍となり、40代、50代と年代が上がるにつれて高くなる傾向があります。
まだまだ、差別を受けるケースも珍しくなく、心ない言葉をかけられたり、まるでその場にLGBT当事者がいないかのように差別的な言動をとられたりすることもあるようです。
結婚制度について
LGBTの結婚制度については 現在の日本の法律上、パートナーシップ法や同性婚を認める法律は存在していません。つまり、パートナーとの関係性も法的には保護されていないということ。しかし、同性婚を法的に認めるか否かの議論はいまだに進んでいないのが現状です。
海外におけるLGBTへの制度
各国のLGBTへの対応
LGBTに対する世界的な動きについては、2011年 国連人権理事会が、性的指向や性自認に基づく暴力行為や差別に重大な懸念を示す決議を採択しました。 2014年にはインドで「第三の性」(トランスジェンダー)を法的に認める最高裁の判決が出されました。
2015年 アメリカ全州で同性婚が合憲(結婚の平等)となり、異性カップル同様に法的な保証が認められるようになりました。それ以降、推定29万3000組の同性カップルが結婚し、結婚式を挙げることによる経済効果が38億ドル(約4200億円)に上り、4万5000人の雇用を創出し、2億4000万ドルの税収をもたらしたという調査結果が発表されています。
また、ベトナムでは同性婚を禁止する法律が廃止となり、事実上の同性婚が可能になり少しずつLGBTを保護する法律が制定されてきています。 オランダ、ベルギー、スペイン、カナダ、南アフリカ共和国を含む24カ国では、国全土で同性婚を合法化。異性婚と同等、それに近い権利、または部分的な権利を与えるということが認められました。
しかし一方では、LGBTに対し圧力を強める国もあります。 ロシアでは、2013年6月に同性愛宣伝禁止法が成立し、未成年者に「非伝統的な性的関係」(同性愛)について情報提供することが禁止されました。
また、ナイジェリアでは2014年に同性婚禁止法の成立、ウガンダでは2014年に反同性愛法が成立し、同性愛者への罰則を強化しました。アフリカ地域における圧力は顕著で、54か国中38か国で同性愛行為が禁止されています。
LGBTの就職・企業の対応
「まだ結婚しないの?」「オカマっぽい」「男っぽくて変」などといった差別的な言動が日常の会話で起きているという問題があります。 しかし、差別を受けたくないからという理由で、職場でカミングアウトするLGBTがいないということもあり、社内のLGBT対応が進まない現状があります。
LGBT当事者としては、同僚に避けられたり偏見を持たれたりすることへの不安、着替えやトイレ、異性向けの会話に参加する時など、本当の性別を隠すことのストレスから100%仕事に集中するのが難しいという人も少なくありません。
会社に居場所がない…と、自分の能力を発揮できなくなることもあり、悩みを職場で誰に相談していいかわからず、孤立を深めてしまうというような深刻な問題もあります。
まとめ
セクシュアリティを考えるにあたり、身体的性や性的指向など多くの観点があること、また「マイノリティ」という表現が嘘のように多様なセクシュアリティがあり、驚いた方も多いのではないでしょうか。
世の中には、今回ご紹介させていただいたもの以外にもたくさんのセクシュアリティが存在しています。そもそも恋愛や性愛のあり方なんて当然一人ひとり違います。マジョリティ、とか、マイノリティ、とか、線を引くこと自体、必要ないのかもしれませんね。
誰もが生きやすい世の中のためには、違って当然、多様性を認め合うことが大切です。そのためにはひとりひとりの知識や理解をまずは深めていくことが大切ではないでしょうか^^
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