夢が広がる未来の乗り物。まだ乗ったことのない未来の乗り物は、私たちをいつでもワクワクさせてくれます。都会では観光客向けのマリオカートに続く、キックボードを見かけるようになりました。
新型コロナ感染症拡大の影響を受けて、各国ではマイクロモビリティ専用レーンの整備が進められており、三密を避ける手段として電動キックボードを含むマイクロモビリティが注目されています。
ですが、「でもこれ、日本では乗れないのでは?」「車道で走って大丈夫なの?」と疑問に思うことも。確かに、外国の道交法と日本の道交法の違いから、外国の商品を日本にそのまま輸入しても公道で走れないのがほとんどです。
今回は、さまざまなモビリティがなぜ乗れないのか、乗れる可能性はあるのか、今の日本の問題点、海外の状況と今後の展開を調べてみました。
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電動キックボード
すでに世界的には出回っているが、日本では公道で乗れない電動キックボードの現状についてです。海外で人気が高く、特にサンフランシスコやヨーロッパの若者間で人気を集めており、とても身近なモビリティです。
電動キックボードは通常のキックボードや自転車のように脚力を使って漕ぐ必要がなく、またスリムな車体で場所を取らないことから、とてもスマートに移動や停車ができるのが人気のポイント。
海外では、乗りたい車体を見つけたらスマートフォンのアプリでロックを解除し、乗った時間だけ利用料を支払うという「シェアリングサービス」が、利用者にとってはとても手軽なため爆発的な広がりを見せています。
筆者も海外駐在時代は使用していました。
主なメリットは、
- 小型で軽量、折り畳めて持ち運びが便利(2KG以内)
- 予想以上に速い(時速30KMまで)
- 電動のためほぼ音が出ない
- 駆動可能な距離が広い(バッテリー次第で最大20KM)
- 操作も簡単(原付バイクと同じ) *機種によります
デメリットは、
- 人身事故のリスク
- 高いコスト (3万円以上)
- 保険対象外がほとんど
通勤通学などは本当に便利です。携帯性と機動力を兼ね備えています。
ただし、、、やはり危険な乗り物という印象は強かったです。事実、中国上海市では普及から半年で歩行者との人身事故が発生し、その1週間後には全面禁止となった事例もあります。
恐ろしくスピードが出る上に音も静かなので、速度制限がない場合は非常に危険です。
日本でのキックボードの立ち位置は?
そもそも電動じゃない、普通のキックボードは日本の道交法でどんな扱いなのでしょうか。
実はキックボードは、ローラースケートと同じような扱い。
ローラースケートは、「交通の頻繁な道路において乗った場合またはこれらに類する行為をすることを禁止行為」とされています(道路交通法76条4項3号)。
この「頻繁」という文言の定義がされていないため曖昧ですが、原則公道で乗ることは禁止されているようです。
ちなみに、道交法上「自転車」というには「ペダルやハンドクランクによって動く乗り物」という決まりがあるため、キックボードは自転車とは違います(道交法第2条第63条の3道路交通法施行規則第9条の2)。
電動キックボードの位置づけ
道路交通法では、「電動キックボード」は、道路交通法第2条第1項第10号の規定により、「内閣府令で定める大きさ(0.60キロワット)以下の定格出力の原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車」に該当し、かつ、自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等には該当しないので、原動機付自転車に該当します。
そのため、
・車道を走行する場合は、車体が原付の保安基準を満たしている必要がある
・走行時は原付の運転免許と、ヘルメットが必要
・原付なので歩道は走行できない
ということになります。
つまり、これらの整備をせずに日本の公道を走行した場合、道路交通法第62条の違反「整備不良」として罰則の対象となってしまいます。
どうすれば乗れる?
原付扱いの電動キックボードに必要な装備は以下の5点です。
・バックミラー
・方向指示器
・前照灯
・番号灯
・ナンバープレート
また、車体の装備以外で必要なものは以下の4点になっています。
・運転免許証
・自賠責保険への加入
・軽自動車税の納税
・免許携帯、ヘルメット着装など交通法令の遵守
これらの条件を満たすと日本の公道で電動キックボードに乗ることができます。
ちなみに原付としての保安基準を満たしていない場合でも、電動キックボード自体が日本では「原付扱い」となるので、歩道の走行はできません。
電動キックボードのシェアリング実験に特例
電動キックボードのシェアリングサービス実証実験において、自転車レーンを走行できるという特例が認められる見通しです。警察庁は2020年8月3日、その規制の特例措置内容を公表し、パブリックコメント(国民からの意見募集)を開始しました。実験は10月から一部地域で実施される予定です。
今回は、シェアリングサービス提供事業者の求めに国家公安委員会と警察庁が応じた形です。電動キックボードで公道を走行する場合、50cc原付の保安基準に適合させた車両でナンバープレートを取得したうえで、ヘルメットを着用し、電源オフの状態であっても車道を走行する必要がありますが、それが一部緩和されます。
特例の適用にあたり、車両のサイズや重量のほか、「20km/h以上の速度を出せないこと」といった条件が明示されています。そのうえで、該当するシェアリング事業で貸し渡される電動キックボードが、自転車通行帯を通行できるよう、道路標識令(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令)の適用に関する特例を定めるとされています。
シェアリング事業の実証実験においての適用で、かつ、原付の区分そのものを見直すわけではありませんが、電動モビリティの業界関係者は、「新たな乗りものとして広く社会に認めてもらう機運になる」と期待感をにじませています。
電動キックボードをめぐっては、自民党の「MaaS議員連盟」も、現行の規制がこうした新たな交通手段にそぐわず、欧米などと比べて普及を妨げているとして、規制緩和を国へ働きかけてきました。また、シェアリングサービスの提供事業者であるLuup(東京都渋谷区)やmobby ride(福岡市中央区)も、国の制度を活用して関係機関との対話を重ねており、こうした動きが今回の規制緩和に結実したといえるでしょう。
「シェアリングだけ」「キックボードだけ」の特例対象?
直近の新型コロナ感染症拡大の影響を受けて、各国ではマイクロモビリティ専用レーンの整備が進められており、三密を避ける手段として電動キックボードを含むマイクロモビリティが注目されています。日本においても公共交通機関を補完できる移動手段は求められており、マイクロモビリティの社会実装が急務であるとも言えます。
このように現行ルールにのっとり、原付の保安基準に当てはめる形で公道走行を可能にしてきました。たとえば自転車にも電動バイクにもなるタイプのモビリティの場合、自転車モードであっても免許を携帯し、ヘルメット着用で車道を走行する必要があります。
またインターネットの通販サイトでは、類似する商品が無数に販売されていますが、なかには日本の基準に適合せず「公道は走れません」と注意書きがあるのみで、こうした商品による違法走行も増えているのが現状です。
だからこそ今回の規制緩和の動きは、『シェアリング事業だけ』『キックボードだけ』という話には当然ならないようです。また今回は道路標識令の適用に関する特例を定める形ですが、いずれは原付の区分や、電動モビリティそのものの区分も見直されるべきのようです。
というのも、自転車レーンがないところではどう扱うかも明確ではないうえ、一律で20km/h以下というのは、むしろ危ないという声も出るでしょう。電動であればエンジンよりもスピードをきっちり調整できるものの、乗る人の体重や路面状況によっても必要なパワーは異なってくるのだそうです。
まとめ
今回は新型コロナ感染症拡大の影響を受けて、三密を避ける手段として電動キックボードを含むマイクロモビリティについて調べてみました。
快適な生活の手段として必要である部分と、安全性の担保するトレードオフは国の文化と価値観で異なり、まさにコロナ対策と同様と言えます。
日本は確かに後者の安全面を優先した文化は世界から見ると遅れているのは事実です。一方で人の命に関わる以上、安易に普及させ問題が起きてから対応という考え方が正しいのか?是非が問われるところです。
故に日本流「温故知新」による未来創造に期待したいですね^^
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