RPAとは?業務を自動化して生産性を向上させよう!

業務効率化や生産性向上を実現するテクノロジーとして「RPA(Robotic Process Automation)」をご存知でしょうか?

導入によりデータ入力やアンケートの集計などの単純作業の自動化が可能となり、近年非常に注目をされています。実際に民間企業や自治体での導入が進んでいます。

働き方改革の推進・人手不足の解消を目指すために、RPAの概要について知り、RPAの導入を検討してみてはいかがでしょうか?


RPAとは?

RPAは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略語で、定型業務を自動化する技術のことです。つまり、オフィスで働く方が行っているコピー&ペーストなどの単純作業をソフトウェアロボットが人間の代わりに行うものです。

RPAが注目され始めた理由

2060年には、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者になるという、世界でも類を見ない超高齢化社会を控えている日本。総人口は減少の一途を辿り、労働力の中核を成す15歳以上65歳未満の生産年齢人口も1990年代をピークに減少傾向が続いています。日本経済に与えるインパクトをできる限り軽減するために、早期に生産年齢人口をカバーしなければならないことは明らかでしょう。

現在、未就業の状態にある人々の就業支援や、外国人労働者の受け入れだけでは到底追いつかないほどのスピードで進行する人手不足をいかに速やかに補完するかは、近年大きな課題とされてきました。そこで、注目を集めているのがRPAです。

すでに工場のライン業務などでは、人間を補助する戦力としてITやロボットの導入が進んでいます。その適応範囲をホワイトカラー業務に拡大したRPAは、金融はじめ商社、サービス、流通、小売、インフラ、製造、不動産、自治体など広範囲な業務自動化・効率化に対応できる技術として大きな可能性を秘めているのです。

人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果

出典:2010年までは国勢調査、2013年は人口推計12月1日確定値、2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果

RPAの導入で変わる未来

RPAの登場によって、これまで「人間にしかできない」とされてきた仕事も、ロボットによる代行が可能になりました。

これを受けて、欧米を筆頭に政府レベルでRPAの導入が進みつつあります。日本の経済産業省も、RPAによる国会答弁集作成の高度化を検討しており、2017年の通常国会から本格導入したい考えを明らかにしました。

さらに、「ほかに代替機能がないためにやむを得ず人間が行ってきた」ともいえる単純作業に近い事務処理や、書類関係の作業が比較的多い金融業界や人事・採用に関わる部署など、旧態依然とした業務が多く残る業種・職種にも業務改善の可能性が生まれることになります。

紙媒体のデータ化はもちろん、そのデータに基づく一定の業務フローが自動化されるという点で、非常に画期的だといえるでしょう。今後、RPAの普及による大衆化が進み、大企業から中小企業まで、誰もがRPAを“文房具”のように使いこなす時代になっていくでしょう。RPA導入により創出した時間(マンパワー)を、より創造性が求められる分野に充てたり、ロボットとの協働による生産性向上で、社員やスタッフの賃金向上など健全な経営の改善にもつながります。

業務プロセス事例

例えば、在庫数を管理して必要に応じて仕入れ業者に発注する業務、それから契約更新月に行う契約書作成業務に関しても自動化して、人の手を介さずに行えます。このように人間の代わりになることから、RPAを「デジタルレイバー(Digital Labor=仮想知的労働者)」と呼ぶこともあります。工場などで働くブルーカラーの代わりに活躍する産業ロボットがいる一方で、ホワイトカラーの代わりに活躍するのがRPAとなります。

働く人の生産性向上が注目される中、煩雑で定型的な事務業務が多い金融業界で先行して導入され、高い効果を発揮したことから業種を問わず多くの企業・団体に導入が進んでいます。AIを活用することによって、これまでは人間の判断が必要だったような作業が自動化できるようになったことも、注目される要因となっています。

導入による効果

RPAを導入することによって単純作業を自動化でき、人手不足を解消することや、働き方改革を支援することが可能になります。また、業務の自動化でバックオフィス業務が減ることで本来の業務に注力する環境ができるため、売上UPにつながることもあるでしょう。

具体的には、あらかじめ専用のRPAソフトウェアで自動化する手順を設計し実行させるのが一般的です。ファイルをフォルダーに入れておくと自動的に処理できるようにする、といったことも可能です。

導入の注意点とは?

ただ、1つ注意しなくてはならないのが、導入すればすぐに業務が自動化される、手間がいらないというわけではないことです。まずは作業を覚えさせる必要があり、業務が変わったらRPAもそれに合わせて変更を加える必要があります。最初に手間はかかってしまうことは把握しておくべきです。とはいえ、最初に設定さえしてしまえば、日々の業務を効率化できますし、設定に関してもプログラミングは不要で、使い方さえ理解すればIT技術に明るくない方でもソフトウェアロボットの挙動のルールを作成することが可能です。

RPAの必要性

例えば、商品の注文書をメールの添付ファイルとして受け取り精査、注文書の内容から見積書を作成し、メール送信。送られてきた注文書は最終的にクラウドサーバーに保管するといった業務。そういった定型作業は、実際には文章にするよりも多くの細かなステップを実行しています。

全体としては無くてはならない業務ではあるものの、毎回同じことを繰り返す作業もありますので、そういった部分は、あえて人が時間をかけてやるよりも自動化すべきです。また、手作業はミスが発生するリスクも高くなりますので、事故を防ぐための手段としてもRPAによる自動化は効果的です。

RPA導入のメリット

コスト削減

業務プロセスを効率化することにより、作業時間の短縮などが図れます。また、自動化することにより業務プロセス自体が見直され、これまでは必要だった伝票やコピーなどの紙の使用を減らす効果も期待できます。

生産性向上

手作業の作業時間が短縮されることにより、空いた時間で生産性の高い業務に集中できます。生産性の高い業務とは、例えば、自社のサービスや製品の価値の向上など、会社の業績に直接つながる業務です。また、直接サービスなどに関わっていないような作業でも、プロセスそのものが効率化されることによって社内業務がスピードアップ、間接的にサービスの品質向上に貢献することができます。

人的デメリットがない

RPAの最大の強みは、俗人的なデメリット以下の3点が挙げられます。

・辞めない
・働き続ける
・変化に強く、同じ間違いを繰り返さない

ロボットはみずから辞めることはありませんし、24時間休みなく働き続けることも可能です。アプリケーションと違って日ごとに変わる業務の変化にも、ルールを書き換えることで柔軟に対応でき、同じ間違いを繰り返すこともありません。

ある程度のルールとフローで回せる業務であれば、RPAによって飛躍的な効率化を実感できるでしょう。人の手による作業より遥かに正確で、見落としがないことも忘れてはならないポイントです。

RPAが得意とするのは、ある程度の手順が決まっている、いわゆる「定型作業」ですが、その柔軟性と適応力は高く、状況に応じてカスタマイズできるため、幅広い業務に導入できる可能性があります。

RPAの構築方法とは?

私たちは日常的にデスクトップやWebアプリケーションを使って業務を行っています。その際、機能や目的によって、表計算ソフトや、Webブラウザー、メールソフト、ファイルサーバーなどを使い分けているはずです。

RPAソフトウェアを使うと、そういった現在使っているソフトウェアを連携させて、一つのワークフローとして構築することが可能です。新たに専用システムを開発する必要がないので、思ったよりも低コストで導入できる場合があります。

具体的な手順は下記の通りです。

業務の棚卸し

自身の業務に自動化できそうなところがないかは、業務フローの洗い出しでわかります。普段何気無く行なっていることでも構いませんので、一つ一つ書き出してみてください。書き出した業務の中から特に効果が大きそうな箇所や、ミスの影響が大きそうなものに注目します。

業務フローの洗い出し例

  • 直接データの互換性がないので、フォーマットを変更して保存し直す。
  • 違うファイルに、手でコピー&ペーストを繰り返す。
  • メールなどで送られてくるファイルを、種類ごとに別の場所に転送する。
  • PDFで送られてきた注文書を、手作業でWebブラウザーに入力する。
  • Wordで作成したパンフレットを、印刷用のPDFに変換して印刷所に入稿する。
  • パンフレットに自社のロゴマークが正しいルールで使用されているかをチェックする。
  • 文字の間違いがないかをチェックする。
  • 目的別にファイルをクラウドサーバーにアップロードする。
  • Webブラウザーの画面を撮って資料作成に使う。

いきなりワークフロー全体をRPA化する必要はありません。一部分であればRPAツールを導入しなくても自動化が可能です。例えば、Webブラウザーやアプリケーションにプラグインや機能拡張をインストールすれば、ボタン一つでできるようなこともあります。これも立派な自動化です。効果が実感できたら視点を広げて、RAPソフトウェアの導入を検討してみましょう。

RPAの種類とは?

RPAは一般的に、技術に詳しい人でなくても自動化できるような仕組みが用意されたソフトウェアとして提供されています。様々な機能がありますが、こういった機能を自身のワークフローに役立たせることができるかを、考えてみましょう。

RPAの自動化レベルとは?

RPAの自動化レベルにはクラス1~3まであり、数字が大きくなるにつれて自動化レベルが高くなり、広範囲の業務を自動で行うことが可能となります。

クラス名称主な業務範囲具体的な作業範囲や利用技術
1RPA(Robotic Process Automation)定型業務の自動化コピー&ペーストなどの単純作業、データのダウンロード・入力作業を中心としたバックオフィス業務
2EPA(Enhanced Process Automation)一部非定型業務の自動化AIの技術を活用して、自然言語・画像・音声の解析やビッグデータの処理
⇒自由記述式アンケートの集計の自動化
⇒ビッグデータを使用した売上傾向の分析
3CA(Cognitive Automation)高度な自律化データの解析・分析に加えて、その結果を基にした改善策の考案・意思決定

RPAには3段階あると言っているのに、クラス1のツールのことをRPAと呼ぶのに疑問を感じるかもしれませんが、それはRPAと一口に言っても広義と狭義があるからです。狭義においては自動化レベルの1段階目であるクラス1のツールを指し、広義のRPAは自動化・業務効率化ツールの総称を指します。

ですから、広い意味でRPAと言えばクラス2のEPAやクラス3のCAのことも含まれます。現状導入されているRPAの多くがクラス1に当たり、定型業務を担当しています。

RPAツールとは?

RPAツールには、デスクトップ型RPAとサーバ型RPAの2種類があります。

デスクトップ型RPAはソフトウェアロボットの作業ルールを決めたり実行させたりするもので、サーバ型RPAはデスクトップで挙動するソフトウェアロボットの管理や監視を行うものです。両者を組み合わせて導入することもあれば、デスクトップ型RPAだけを導入する場合もあります。

デスクトップだけで運用されているRPAを「RDA(Robotic Desktop Automation=ロボティック・デスクトップ・オートメーション)」とも呼びます。本来なら会社全体の業務を効率化するために、デスクトップ型RPAとサーバ型RPAを導入して体系的に改善するのが良いのですが、費用や導入の容易さからデスクトップ型RPA(RDA)だけを導入する企業もいます。ただ、デスクトップ型RPAだけを導入する場合には、今後サーバ型RPAを導入する可能性も考慮してデータ移行のできるツールを選びましょう。

RPAがビジネスと市場に与える影響

RPAによって変わる未来

近年、世界中でRPAが急速に発展し、日本でも導入企業が増加しました。マッキンゼー・アンド・カンパニーは、世界におけるロボティクスによるオートメーションマーケットの市場規模は「6.5 trillion dollars」、日本円で約650兆円に達すると予測しています。 そのうち2~3%を日本が占めると考えると、国内だけで約20兆円ものマーケットが生まれることになります。

人口の減少によって不安視されていた、近い将来の労働力をRPAにより確保できるだけではなく、24時間365日稼働し続け会社を辞めることもないので多くの効果が期待されています。BizRobo! RPAも2019年1月時点で導入企業数1,000社を突破し、これからはますます大企業だけではなく、中小企業までRPAの普及・大衆化が進んでいくでしょう。

まとめ

今回は働き方改革の推進・人手不足の解消を目指すためのデジタル技術「RPA」の概要についてご紹介しました。

一般的にはRPAを導入することで、最低でも人間2~5人分に相当する仕事量に対応できるため、RPAの普及が人間の仕事の一部を奪うという側面がないわけではありません。

しかし、現場での柔軟な業務対応が重視される日本では、システム主導で業務の大部分を自動化・規格化するようなやり方は浸透しにくいでしょう。すでに多くのロボットが導入されている工場のライン業務でも、ロボットの動きを監視・監督してチューニングする役目を果たす人間が必ず存在しています。

RPAの導入がいかに進もうとも、ロボットだけで仕事は完結しません。管理する人間側にも使いこなすデジタルの管理技術のスキルアップが求められますし、それを持つ人材の価値は益々重宝されていくことでしょう。

今後のRPAには人間と協働し、業務を分担することによって業務自動化による単純作業の効率化や売り上げに寄与する働きだけでなく、社員の賃金向上やリモートワークによるより良い生活を送ることが可能になるなどのデジタルレイバーによる効能が期待されています。

新たな価値を生む技術に私たちも一緒に成長していけるといいですね^^

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