2020年7月1日から、多くの店舗でレジ袋の有料化が求められます。すでに4月頃から有料化にシフトしていたお店もありましたが、7月以降はかなり多くの店舗が有料化をすることになるでしょう。
今回は(条件付きで)5円払っても袋もらうほうが経済的にはありかも?というお話です。
レジ袋有料化の理由は環境保全を目指すこと?
根拠となるのは、2019年5月に政府が制定した「プラスチック資源循環戦略」と、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」の省令見直しになります。
今回の取り組みについて、経済産業省のホームページがあり、こう説明されています。
プラスチックは、非常に便利な素材です。成形しやすく、軽くて丈夫で密閉性も高いため、製品の軽量化や食品ロスの削減など、あらゆる分野で私たちの生活に貢献しています。一方で、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題もあります。私たちは、プラスチックの過剰な使用を抑制し、賢く利用していく必要があります。
このような状況を踏まえ、令和2年7月1日より、全国でプラスチック製買物袋の有料化を行うこととなりました。これは、普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています。
出典:経済産業省
制度概要
以下は主な概要です。
対象となる事業者
プラスチック製買物袋を扱う小売業※を営む全ての事業者が対象となります。
主な業種が小売業ではない事業者(製造業やサービス業)であっても、事業の一部として小売業を行っている場合は有料化の対象となります。
※各種商品小売業、織物:衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、自動車部分品・附属品小売業、家具・じゅう器・機械文具小売業、医薬品・化粧品小売業、書籍・文房具小売業、スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業及びたばこ・喫煙具専門小売業
対象となる買物袋
有料化の対象となるのは、購入した商品を持ち運ぶために用いる、持ち手のついたプラスチック製買物袋です。
プラスチック製買物袋
本制度の対象
本制度の対象外
あらゆるプラスチック製買物袋を有料化することにより、過剰な使用を抑制していくことが基本ですが、環境性能が認められ、その旨の表示がある以下3点は対象外です。こうした袋への転換を進めるなど、環境価値に応じた価値付け等を推奨しています。
有料化の対象外となる買物袋1プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの繰り返し使用が可能であることから、プラスチック製買物袋の過剰な使用抑制に寄与するためです2海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの微生物によって海洋で分解されるプラスチック製買物袋は、海洋プラスチックごみ問題対策に寄与するためです3バイオマス素材の配合率が25%以上のもの植物由来がCO2総量を変えない素材であり、地球温暖化対策に寄与するためです
価格設定や売上の使途
価格も売り上げの使途も、事業者自ら設定することとなります。
ただし、1枚あたりの価格が1円未満になるような価格設定をすることは有料化にあたりません
ガイドラインダウンロード(経済産業省より)
環境と購入はトレードオフ!?
レジ袋は「ゴミ回収のためのゴミ袋」として第二の余生を送るのが各ご家庭で一般的のため、有料化することになって袋をもらわない場合、「ゴミ袋用のビニール袋を購入する必要」が発生するということになります。つまり「(有料化によるマイナス1)+(別途購入によるプラス1)=プラマイゼロ」になるので基本的に環境負荷には中立のような気がしますが、とりあえずは法令にもとづく取り組みが始まるわけです。
とはいうものの、「コンビニやドラッグストアでアイスや飲み物を買ったとき」などにもらっていた小さな袋は捨てていることがありますし、オフィスの下のコンビニですぐ消費する買い物の袋を帰宅して利用するほどこだわってはいなかったので、1カ月を通じれば、「有料化によるマイナス」のほうが上回るとはいえるかもしれません。
ところで、これをお金目線で考えると「有料」のところが気になります。
マイバッグを買って減価償却は可能!?
今回の有料化は単なる有料化ではなく資源削減をねらいとしていますから、エコバッグの持参などが代替手段として推奨されています。
しかしエコバッグが環境負荷低減に役立つとしても、経済的にはこれはなかなかいい方法ではありません。
仮に1000円のエコバックを買ったとします。この元を取ろうとすると200回の買い物をする必要があります。今のところ、1つの袋を5円で販売するケースが多いようだからです。しかし、1日2回の利用としても100日がかかる計算です。なんと3カ月でようやく元が取れるということになります。
1年も使い続ければもちろん損はありませんが、エコバックも軽量さが要求されるため耐久性に乏しい素材が多いように思います。途中で破損すればあまりコスパがいいものにはなりません。
100均でエコバックが買えたら安上がりですが、サイズや質感で不安な部分があります。できればイベント等の無料ノベルティで配布されるようなバックをゲットして、上手に使いたいものです。
また、再利用を前提としていますから、汚れてしまえば中を洗ったりしなくてはならず、手間もかかります。なかなか悩ましいところです。
100均でゴミ袋を買う=レジで5円の袋を買う場合の比較
ここで発想を逆転させ「あえて有料でもビニール袋を買う」場合を分析してみましょう。ひょっとすると、個人にとって「5円で袋をあえて買う」というのは経済的にありかもしれないのです。
もし5円の袋をもらわずマイバックにして、別途ゴミ袋を買ったとします。ゴミの捨て方にもよりますが、45リットルくらい入る大型のゴミ袋で収集所に出す人も、10リットルくらいの中小型のゴミ袋いくつかに生ゴミや生活ゴミをまとめて、大きな袋に放り込んでいることが多いと思います。そのほうが大きなゴミ袋の破損も防ぎやすく、また液体漏れで床汚れすることも防ぐことができます。
そうすると、会計時に袋をもらわない場合、小ぶりのスーパーの袋の「代替」が必要になり購入が必要になります。
例えば、100均などに出かけて「20枚100円」のビニール袋を買ってきて代替したとすればどうでしょう。これはつまり、1枚あたり5円の袋を別途購入していることになります。つまり店頭で5円で袋を買うのと同価値ということです。
袋の枚数 「(有料化によるマイナス1)+(別途購入によるプラス1)=プラマイゼロ」
は
袋のコスト 「(有料化で5円購入をなくす)+(100均で5円で購入)=プラマイゼロ」
になってしまうのです。
お店にとっては、レジ袋代を消費者に払ってもらうことは利益率の観点からは助かります。私たちは環境保全というよりは「袋代を自己負担する」というところに今回の経済的変化があるとも捉えられるわけです。
とはいえ、この仮説も弱点が!?
しかしこの問題、最後の課題があります。それは
「帰宅してみたら購入袋が汚れと穴あきになっていて再利用しづらい」
というリスクです。
スーパーなどの袋、重い荷物を家までなんとか持ち帰って、冷蔵庫にしまってみたら、底に穴が空いていたということはしばしばあります。またお肉やお魚などの水物が漏れてしまったりする場合、仮に4つの袋を抱えて返ってきて、2つしかゴミ袋に再利用できなかったとすれば、1つの袋のお値段は10円になってしまうわけです。穴あき袋を紙ゴミなど液体漏れがないゴミの袋にする方法もありますが、やはり穴あきはいやなものです。
100均の袋は20個入っていれば20個確実に使用できますから、「再利用ポイント」は「帰宅中に床には袋を置かない」とか「尖っている商品は袋詰めのときに工夫して入れる」になるかもしれません。
まとめ:「小さい袋は買わない」「大きな袋は買う」
結論としては、ほとんど捨てるだけの小さな袋でお菓子を数点いれるくらいなら「袋は買わない」マイバックに入れるという習慣にする。これは環境に役立ちます。
一方で、大きな袋でまとめて持ち帰る場合、袋代を支払うことを推奨します。運用方法が多少のテクニックは必要ですが、それをちゃんと活用してゴミ収集に使えばムダとはいえないからです。
あくまで袋の値段はお住まいのエリアで異なるでしょうし、あなたならどうされますか?
今回を機に身近なレジ袋有料化をテーマに、お金の使い方として、全体の損益分岐の仮設定をされてみてはいかがでしょうか?そしてベストと思われる方法を実施してみて、より効率的かつサスティナブルな日常生活の選択をしてみてくださいね^^
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