【次期首相は誰に?】ポスト安倍と今後の総裁選挙とは?

 安倍晋三首相は28日、記者会で内閣総理大臣を辞任する意向を明らかにされました。持病である潰瘍性大腸炎が再発したことが主な理由です。

実際に「国民の負託に自信をもって応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断した。総理大臣の職を辞することといたします」と述べられました。

今回は日本中が注目する次期総理大臣は誰になるのか?未来の日本をつくる新たなリーダー候補と総裁選挙の流れを調べてみました。

次期首相に相応しいのは?

まず、コロナ危機で、脚光を浴びたのが全国の知事達です。

2月に独自の緊急事態宣言を出して、存在感を示した鈴木直道・北海道知事(39)。自粛をめぐり、国と渡り合った小池百合子・東京都知事(67)。そして出口戦略「大阪モデル」を出した吉村洋文・大阪府知事(45)など、各知事のリーダーシップに注目が集まりました。  

また自民党では、新型コロナ対策担当相として最前線に立ち続ける西村康稔経済再生担当相(57)が知名度アップ。他に「ポスト安倍」として報じられるのは、政権批判を先鋭化させる石破茂元幹事長(63)、禅譲路線といわれる岸田文雄政調会長(62)、ブルーインパルス都心飛行を指示した河野太郎防衛相(57)、経済誌で「人生相談」連載を始めた菅義偉官房長官(71)もクローズアップされています。  

次期総裁候補の顔ぶれとは?

石破茂(いしば・しげる、63歳)

元防衛相で、安倍首相を批判的な目でみる、自民党内では珍しい存在です。世論調査で次期首相候補のトップに名前が挙がるが、党内の国会議員からの人気は高くありません。

農林水産相、地方創生・国家戦略特別区域担当相を歴任。2012年の党総裁選では、地方議員と党員が参加する1回目の投票で安倍氏を破り、草の根の支持の強さを見せつけました。しかし、国会議員のみが参加する決戦投票で敗れ、18年の総裁選でも安倍氏に敗北しました。

経済・金融政策については、日銀の超低金利政策が地方銀行を痛めつけていると批判し、格差拡大を是正するために公共事業の支出拡大を訴えています。

岸田文雄(きしだ・ふみお、63歳)

2012年から2017年まで、第2次安倍内閣で長く外相を務め、世界中を飛び回った首相の側近です。

広島県選出の衆議院議員で、控えめとも評される岸田氏は安倍氏の後継者と一般的に考えられていますが、世論調査で次期首相候補の上位には名前が挙がらっていないようです。

自民党内ではハト派寄りの派閥に属し、安倍氏に比べて憲法9条の改正には前向きでないとみられています。

河野太郎(こうの・たろう、57歳)

「異端児」、「変人」などと呼ばれることがある防衛相です。今年6月には米国の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備手続き停止を決め、波紋を呼びました。安倍政権の主要政策とは一線を画すことがあるようです。

米ワシントンのジョージタウン大学で学び、英語が堪能、外相や行政改革担当相を歴任されています。

官房長官や衆議院議長、外相などを務めた父の河野洋平氏とは異なる側面を持つ保守政治家。韓国との歴史問題には厳しい姿勢で臨み定評があります。

菅義偉(すが・よしひで、71歳)

言わずと知れた令和おじさん。世襲議員が多い日本の政界において、たたき上げの政治家として官房長官まで上り詰め、政権のスポークスマンとして政策を調整して来られました。

2006年から07年の第一次安倍政権時は総務相などを務め、安倍氏の盟友として、2012年の再登板を後押しされました。

2019年4月に新天皇が即位した際、元号「令和」を発表して話題となり、安倍氏の後継者の1人に浮上した。しかし、2019年10月、菅氏に近い閣僚2人が不祥事で辞任すると、政権内での影響力が低下しました。

直近では「Go To」を主導し失敗と言われながらも、その存在感を高めている実力者でもあります。

世論の評価は?

その他の注目は?

4名に続き小泉進次郎氏、加藤勝信氏、西村康稔氏、野田聖子氏なら名前も上がっているようです。

しかし、現時点ではポスト安倍首相の有力候補として、菅官房長官、河野太郎防衛相、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長などが有力なようです。

彼らは安倍首相の体調不安説が流れたのと前後して活動を活発化させています。

自民党総裁選挙のしくみ 

今後、自民党は、次の総裁を決める手続きに入ることになります。

自民党の党則で定められた「総裁公選規程」では、総裁選挙は、国会議員による投票と、全国の党員などによる「党員投票」の合計で争われることになっています。

この場合、
▽現在の所属議員の数を反映した「国会議員票」は394票で
▽「党員票」も、これと同数の394票となり、合わせて788票で争われます。

総裁選挙では、告示から投票まで12日以上の選挙期間が設けられます。

安倍総理大臣が石破元幹事長を破って3選を果たした前回、おととしの総裁選挙は、告示前日の北海道の地震で告示から3日間選挙活動が自粛されたあと、地方での演説会などが行われました。

一方、今回のような任期途中の辞任など、緊急の場合には、党大会に代わる両院議員総会で、国会議員と都道府県連の代表3人が投票を行って、選出できることになっています。

この場合は、1人1票を持つ「国会議員票」394票と、各都道府県連ごとに割り当てられるのは3票で、47の都道府県連では合計141票になることから、合わせて535票で争われます。

また、「党員投票」は行わなくてもよいことになっています。

任期途中で辞任した場合は、新たな総裁の任期は、残りの任期となります。

13年前の2007年には、当時の安倍総理大臣が体調不良で辞任して、両院議員総会が開かれ、福田康夫氏が選出されました。

また、翌2008年には、突然辞任した福田総理大臣の後任に、いまの麻生副総理兼財務大臣が両院議員総会で決まりました。

2000年に、小渕総理大臣が脳梗塞で倒れて入院した当時は、政権幹部による話し合いで、当時の自民党の森喜朗幹事長が後任に決まり、両院議員総会で無投票で選ばれました。

まとめ

安倍晋三首相は8月24日に第2次政権発足からの連続在職日数が2799日となり、佐藤栄作氏を抜き歴代最長記録を作り、経済政策「アベノミクス」や外交、安全保障政策などに取り組まれ、トランプ大統領との信頼関係は世界からも高く評価されました。

首相が辞意を表明したことで、経済政策「アベノミクス」の宿題も次期政権に引き継がれます。新型コロナウイルスの感染拡大で4~6月期の国内総生産(GDP)は平成24年12月の第2次安倍政権発足前の水準に落ち込み、7年半で積み上げた国富が蒸発しました。新しい生活様式が必要なコロナ後の世界で、経済を成長軌道に戻す青写真は依然見えないままです。

今後日本の新たなリーダーにとっては、コロナ後の経済対策、東京オリンピック対応、拉致問題、日露平和条約、憲法改正など、国内外の課題は山積みです。今後の動きから目が離せません。

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