[新しい生活様式]100歳以上の高齢者から長生きの秘訣を解説

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、「新しい生活様式」が求めれています。

今回は、基本に立ち返った「長寿国日本」から学ぶの長生きの秘訣を棚卸しするとともに、今後日常生活の中で取り入れていくべき実践例を紹介していきたいと思います。

百寿者の人口動態

 日本には現在、百歳を超える方が6万人以上いると推計されています。健康長寿の代表ともいえる百寿者(100歳以上の人)や、超百寿者(105歳以上の人)の調査から「長寿者の秘密」が少しずつ分かってきました。

 日本で老人福祉法が制定された、昭和38年の百寿者は全国で153人でしたが、平成27年では61,568人となり、この数は年々増加傾向にあります。また、百寿者全体のうち、およそ87%は女性であることが分かりました。

百寿者の特徴

 百寿者の最大の共通点は「ただ100歳であること」です。

一般に、加齢(または成長)に伴い、個々の「違い」は際だってきます。それはそれぞれの人の性格的な個性であったり、体の丈夫さだったり、食の好みもあるでしょう。100歳になるとこの違いがとても大きくなるようです。そんな中でも、ある程度共通していることの一つは、幸福感が高く、自分の人生を肯定的にとらえる(ポジティブシンキング)人が多いということです。

 これは、韓国の百寿者と比べるとはっきりするそうです。100年くらい前の日本では、乳幼児死亡率が高かったため、兄弟や両親との死別を経験した人が多かったようです。現在の日本の百寿者は、早死にした兄弟のためにがんばって長生きをしなければいけないと教えらえて生きてきました。しかし韓国の人は「自分が長生きをするのは早死にした兄弟の年齢を代わりに使うから」と捉えている人が多いのだそうです。

 このような考えの違いは、人種差の問題もありますが、もう一つは百寿者とその家族の人の幸せ感(満足感)が影響しているのではないでしょうか。幸せ感が高ければ、長生きを悪いとは考えないでしょう。逆の視点では「幸せ感が高い人が長生きをする」という調査もあります。周りの人との関係を上手に作れる人が、幸せな超高齢期を迎えられるのではないかと考えられます。

 さらに百長寿者の多くは、百長寿者となった現在でも、一日中テレビをじっと見ているだけではなく、少しずつでも体を動かし、健康に留意した生活を送っています。家の階段を上り下りして食卓へと向かう、調子が良ければ家の周りを散歩する、自分の洗濯物をたたんで片付けるなど、出来る範囲での日常生活動作を続けています。百長寿者となった現在でも職を持っている方もいるそうです。百長寿者となってもそれに甘んじず、健康に留意して前向きに生活をしている方が多いのが、特徴であるのかもしれません1)

百寿者の食事

食事に日本の代表的な食文化である和食と緑茶を取り入れる高齢者夫婦のイラスト。和食は健康で長生きするための秘訣であり、健康長寿を支えていると考えられています。

 では、百寿者の食生活を考えてみましょう。ここで注目したいのが、日本独特の食習慣である「和食」です。図に示すとおり、日本人の脂肪摂取量は、先進諸国中で飛び抜けて少なく、米飯を中心とした穀物の摂取量が多いという特徴があります。

図:理想的なエネルギー産生栄養素バランス 先進国との比較を示す。
図:理想的なエネルギー産生栄養素バランス 先進国との比較

 また、魚の摂取が多いことも特徴的です。豆腐や納豆、味噌などの大豆製品の摂取も多く、これらは動脈硬化の進行を防ぐには理想に近い食習慣でしょう。食物繊維の摂取量も多く、乳製品も適度に含まれています。さらに、カテキンやビタミンCなどの抗酸化物質が多く含まれる緑茶は、動脈硬化やがんの予防に役立っている可能性があります。

 これらは全て、日本人の主食である和食の特徴です。和食は洋食に比べてカロリーも非常に低いことが特徴です。ある研究では「カロリー制限を行うことが生活習慣病の発症予防や長寿へつながる」という研究結果が出ています。

 和食は、日本の伝統的な食文化であり、一汁三菜を基本に新鮮な食材が素材そのものの味を尊重して多様に調理されていることから、栄養のバランスが非常に優れています。これらのことから、日本現代の健康長寿を支えているのは今の和食であることが考えられます3)

 しかしながら、お肉や甘味といった自分の好きな食べ物を長きにわたって食べ続けて百長寿者となっている方もいます。このことから、無理して節食していくのではなく、ストレスを溜めないような節食行動が百長寿者の食生活の秘訣となると考えられます1)

長生きするための健康の秘訣

百長寿者の生活ぶりを見てみると、

共通するのは「皆、よく食べて、よく動いている」ということです。

 また、身体的にだけではなく精神的にも充実した生活を送っている人が多いのが特徴です。大家族の中心として生活をしている、療養中であってもやりたいことにむかって前向きに考えているというのが良い例です。

 これらのことから、長生きをするための健康の秘訣は怠惰なく日常生活を送り精神的にも肉体的にも自立し、充実した生活を送るということなのではないでしょうか。まさに人生におけるキーワードを押さえていると言えますね。

新型コロナウイルス感染症対策について

 新型コロナウイルス感染症の感染が再び拡大する可能性がある状況で、毎日ご不安に感じられている方も少なくないと思われます。

 そこで上段プラスαをご紹介していきます。

日常の「新しい生活様式」の実践

まず新型コロナウイルス感染症にかからない、周りの人にうつさないために日常で「新しい生活様式」(図)の実践と、フレイルが進まないために適度な運動を行い、栄養バランスの良い食事をとり、心の健康(メンタルヘルス)を保ち、質の良い睡眠が求められます。

図:新型コロナウイルス感染症対策における新しい生活様式の実践例
図:「新しい生活様式」の実践例 引用:厚生労働省

(新型コロナウイルス感染症)厚生労働省(外部サイト)

1.適度な運動

 新型コロナウイルス感染症にかからない・うつさないために外出を控え、動かない不活発な生活が続くことにより、心と体の機能が低下してフレイル(虚弱)になることが心配されます。自宅内での軽い運動や屋外での散歩を適度に行い、身体を動かすことを心掛けてください。また、自宅の片付けや掃除も結構な運動量になります。また、これから暑くなるにつれ熱中症への注意が必要になります。こまめな水分摂取と、室内の温度調整を行ってください。

座っている時間を少なくしましょう!

 立ったり歩いたりする時間を増やすことも大切です。テレビのコマーシャル中に足踏みしてみるなど身体を動かしてください。また、自宅の片付けや掃除も結構な運動量になります。

筋肉を維持しましょう!

 関節も固くならないように気を付けてラジオ体操のような家の中でできる運動でも、筋肉の衰え予防に役立ちます。スクワットなど足腰の筋肉を強くするレジスタンス運動や室内の階段の上り降りも有効です。

日の当たるところで散歩くらいの運動を心掛けましょう!

まとめ

今回は、長寿国日本から学ぶの長生きの秘訣から学ぶ健康管理と、今後日常生活の中で取り入れていくべき新しい生活様式をご紹介しました。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、不安やストレスを感じる方も多いと思います。しかしながら国内外の感染者数や話題など、テレビやニュースから得られる情報に一喜一憂するのではなく、まずは主体的に正しい知識を身に付けること。そして正しい行動をひとつひとつ取り組んで行くことが重要です。

「新型コロナウイルス感染症」を良い機会と前向きに捉え、長い人生を俯瞰的に捉えて、心身の健康をどう維持していくか、ポジティブに取り組んでいきましょう^^

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