【2020年版】WeChat(微信)とは?使い勝手やLINEとの違いを解説

世界で億単位のユーザーがいる有名なメッセージアプリといえば『Facebook Messenger』『LINE』『Skype』『WatsApp』です。一方で中国を中心に『WeChat(微信)』は10億以上のユーザー数を持つメッセージアプリです。

中国ではWeChat(微信)をウェイシンと呼びます。中国現地向けだけでなく、訪日インバウンド客向けPRなど、日本企業のビジネスにも利用されるようになったWeChat(微信)ですが、LINE、Weiboとの違いは何でしょうか?

「WeChatの特徴」「なぜ10億ものユーザーが使っているのか」「日本では使えない機能」など『WeChat』の基本情報をご紹介します。

WeChatとは?

Wechat(ウィーチャット/微信)立ち上げ画面「Hello World」

『WeChat(ウィーチャット)』は10億以上のユーザー数を持ち、主に中国・マレーシア・インド・インドネシア・オーストラリアなど、中国を中心とした海外では主要なメッセージアプリです。

日本では『LINE』が主流で『WeChat』の知名度は高くありませんが、店頭やレジなどの支払い用POPde「WeChat Pay」のマークを見ることも増えています。

WeChatの運営会社は?

tencent webpage

Tencent(騰訊)は1998年11月に設立され、今では時価総額はおよそ18兆円と、Baidu(百度)、Alibaba(阿里巴巴)と並び、中国IT業界を牽引する企業です。創業後、WeChatの前身となったメッセージアプリQQをリリースしユーザー数を伸ばすと、QQをベースとしたWeChatによって確固たる地位を確立し、現在ではSNSのQZONE、オンラインゲーム、EC、更に検索エンジンsogouへに投資するなど事業を広げています。テンセント社は世界時価総額が4750億ドルにものぼる、Microsoftなどのトップアメリカ企業に続くランキング8位の中国大手IT企業です。
テンセント企業サイト:http://www.tencent.com/zh-cn/index.shtml

WeChatはどのくらいの頻度で使われる?

wechat use

インフラとして使われるWeChatは、1日に9割以上のユーザーが1度は開き、10回以上開くユーザーが過半数を超えています。1日中使われるため、企業は多くのタッチポイントを狙い広告を実施しています。

WeChatの個人アカウント

wechat message moments

基本的なメッセージのやり取りに加えて、モーメンツと呼ばれるタイムライン画面が良く使われます。モーメンツはFacebookやLINEのタイムラインと似ていますが、モーメンツの各投稿では自分の友人のアクション(Likeやコメント)しか見られないことや、フォローした企業公式アカウントの発信情報は広告を除いてタイムラインに流れてくることはないといった特徴があります。個人アカウント登録は日本でも取得可能です。

WeChatの企業アカウント

wechat public accounts

企業アカウント(公式法人アカウント)は日本企業含めたくさん存在し、ユーザー向けに自社情報を発信しています。アカウント作成自体は現地企業であれば容易にコストなくできるため、テンセントは対策として300元/年でのオフィシャル認証制度を設け、偽アカウントと区別できるようにしています。最近では中国に法人がない日系企業がインバウンド向けに作成するケースが増えています。

企業アカウントは3種類あり、購読アカウント/サービスアカウントは社外PR向けで、企業アカウントは社内のコミュニケーション専用のアカウントです。購読アカウント、サービスアカウントの違いは、記事の発信回数が購読アカウント1日1回に対し、サービスアカウントは1ヶ月4回です。ただ一方でサービスアカウントのほうがユーザーメッセージと同じ階層で通知が来るので見られやすいといったメリットがあります。

安全面は?

WeChat(微信)の安全面ですが「TRUSTe(アメリカ発の個人情報保護第三者認証プログラム)」や最も厳しい国際規格である「ISO/IEC 27001(情報セキュリティ管理システム)」および「ISO/IEC 27018(パブリッククラウドにおける個人情報保護)」の認証も取得しており、認証機関であるBSI(英国規格協会)の公式HPからも確認ができます。

WeChatのメリット、LINEとの違いとは?

wechat line

LINEと同じように機能は大きく分けて4つ。チャット・モーメンツ(タイムライン)・WeChat Pay、2020年夏頃にチャンネル(動画配信)機能も追加されました。

LINEとの違いとして「近くの人を探す」・「ミニプログラム」・「Red Packt」があります。また既読がつかない、タイムラインの表示、チャット内翻訳などの違いをご紹介します。

既読がつかない

Wechatには既読機能がありません。LINEのように既読スルーに一喜一憂することなく、ストレスなくメッセージが送れるのが最大のメリットです。

モーメンツ(タイムライン)の表示

LINEは設定によりタイムラインに友達以外の「いいね」も表示される場合があります。WeChat(微信)では「いいね」や「コメント」は共通の友人のみ表示されますので、それ以外は表示されない使用です。

不特定な繋がりを表示されることはありません。一方で、○○さんと●●さんが知り合いだったということをそこで知ることもできます。こうした友達に表示する自身の投稿件数や期間を「設定」で変更もできます。

近くにいる人が探せる

「近くにいる人」はLINEにはない機能。位置情報を許可すると、近くにいるユーザーが一覧で表示されます。選んだユーザーにあいさつを送ったり、メッセージのやりとりも開始できます。

画像が軽い

LINEで画像や動画ファイルを送る場合は、ほぼオリジナルサイズを送ることになります。一方でWechatは自動的に最適サイズに圧縮されるので送受信の時間やコストも抑えることができます。これは日常生活の上で大変ノーストレスです。

チャット内で好きな言語に翻訳

Wechat(ウィーチャット/微信)のチャット内翻訳画面

LINEで翻訳する場合は翻訳アカウントを含めたグループトークを作る必要がありますが、WeChat(微信)ではメッセージを選択して右クリックで「翻訳」をパパッとしてくれます。

選べる言語数も多くどの言語に翻訳するかは全般の設定から変更もできるので、語学学習にもつながります。

ステッカー?

WeChatのステッカーはLINEでいうスタンプにあたります。

WeChat(微信)は無料ステッカーが多いです。個人的にはLINEの方が有料ではありますが、お洒落やメジャーなキャラクターが沢山インストールできて良いかもしれません。

そのデメリットを埋めるために任意のデザインを簡単に作成することができるので、オリジナル性は高く、また好きなときに任意で作者に報酬を送金できるところが挙げられます。

注目のミニプログラム(小程序)

中国進出の日本企業が注目する「ミニプログラム(小程序)」。ミニプログラムとは『WeChat(微信)』内の小さなアプリのようなものです。ユーザーは微信内で外部の買い物・音楽・ゲーム・ニュースなどが気軽に楽しめます。

例えばWeChat(微信)を使っている最中に、「ユニクロ」を別ブラウザーで立ち上げたりアプリを別途DLする必要がありません。微信上のミニアプリ内でそのまま購入・決済までできるのが特徴です。

ユニクロ(中国版)のミニプログラム

微信(WeChat)のミニプログラム画面

▲微信(WeChat)内のミニプログラムは立ち上がりが軽い。サクサク楽しめる。

WeChat PayとRed Packet(紅包) ※中国版のみ

残念ながら世界版『WeChat』にはウォレット(お財布)機能はなく、ウォレットがないと「WeChat Pay(微信支付)」の利用ができません。

ウォレットの「微信钱包(WeChat Wallet)」を開設するには、中国の銀行口座、身分証明書、現地の電話番号の3点が必要です。

Wechat Wallet(微信钱包)

▲ウォレットとWeChat Payの画面。QRコード決済時は左上の「マネー」をタップ。

近年ニュースで取り上げられるほど、中国は『微信』のおかげでキャッシュレスが進んでいます。旅行者は「クレジットカードや現金を持参したが何も買えず困った」と言うぐらい、海外では微信支付が普及しており、快適な支払いインフラが整っていると言えます。不思議なくらい日本で現金がいまだに根強いのはセキュリティーや情報リテラシーの価値観の違いがあるからだと推測します。

▲上海の決済用QRコードがレジにある風景。

Wallet(ウォレット)を開通すると具体的に以下2機能が使えるようになります。中国国内の事情を少しご紹介。

1.WeChat Pay(送金機能)

いわゆるQRコード決済。コンビニなどお店での支払いだけでなく、友だち追加の要領でQRコードで送金が可能です。幹事が大勢から集金する際や、割り勘、ちょっとしたお金の貸し借りでも非常に便利です。

日本でも中国人観光客向けに、Wechat Pay支払いを導入するお店が増加しています。

2.Red Packet(紅包)

世界中のメッセージアプリでも『微信』にしかないのが「Red Packet(紅包)」。お年玉やご祝儀のようなイメージですが、堅苦しいものではなくイベント、特に春節(旧正月)で、家族、友人、同僚、知人など感謝の気持ちから送り合いを行います。さまざまなシーンで使われるRed Packet(紅包)が実は面白いです。

【来店のお礼としてQRを設置するお店】
QRコードを読み取ったお客さん全員にRed Packet(紅包)をあげることができます。店ごとに違う「○○ポイント」ではなく、銀行に紐付いた「現金」がもらえます。

【グループチャット内で送る】
グループ内のメンバーに対し、配布数量と金額を指定して「同じ金額」か「ランダムな金額」を送ることができます。ランダムの場合、送る側にも誰がいくら受け取れるかわかりません。開封後に、全員入手金額が公開されるユニークなモノです。ちなみに8は現地では縁起の良い数字「八」です。

Wechat(ウィーチャット/微信)のRed Packet(紅包)でグループ内にランダムな金額を送信

日本人としてWeChatの使い方とは?

日本人の多くは「中国を相手にビジネス」「中国人の友人・親族との連絡」「出張や旅行」といったシチュエーションで、『微信(WeChat)』を使うことになります。

ビジネス上中国とのやり取りで

中国を相手にビジネスをするなら必須のアプリ。中国ではよほど重要な契約または企業秘密の情報でない限りは、ビジネスにおいても連絡手段は『微信』です。

中国人の友達・親族連絡に

日本文部科学省が2008年に策定した「留学生30万人計画」が今年達成されました。グローバル化を目指す政策の影響で、外国人が目に見えて増えています。

中国人との交流を持ったことをきっかけに、WeChat(微信)を使い始めた方も多くいるようです。

出張や旅行の時に

特に長期滞在の場合、『微信(WeChat)』なしには何もできません。中国人との連絡は微信、支払いも確実に微信です。現地の銀行口座を開設できれば日本人でも開設は可能です。

また中国国内で『微信』を使う際には、中国政府が持つ「グレート・ファイアウォール」(検閲機関)を正しく理解しておくとよいでしょう。

「グレート・ファイアウォール」について

中国政府はグレート・ファイアウォールと呼ばれる検閲機関を持っています。中国国内にいる人は、違法情報・ポルノ・反対勢力・海外の一部サイトやサービス(youtube・LINE・Facebookなど)にアクセスできません。

また中国政府は「敏感ワード」というフィルターを設けており、問題視されるワードを複数回入力した『微信』のアカウントは一時的にロック・削除されることがあります。中国国内にいて『微信』で発信をする際には、注意が必要です。

なぜ中国で主要アプリに?

『微信(WeChat)』のユーザー数は主に中国を中心に伸び、現在10億人以上で、55歳以上のアクティブユーザーは6300万人。(Tencent 2018年次レポート)ここまでユーザー数が伸びた要因はいくつかあります。

「LINE」「Twitter」などが選べない

上述のとおり、中国にいる人は「グレート・ファイアウォール」の影響で国外の一部サイト・サービスへのアクセスがブロックされています。

ただし「グレート・ファイアウォールがある=微信(WeChat)を選ぶ」ということでもありません。

テンセント社「QQ」ユーザー6億人が支持

開発者であるテンセント社は1999年に「QQ」(注釈1)をリリースし、ユーザー数は今や6億以上。その巨大なユーザーに支持された実績こそが、「QQをSNS等活動空間」+「Wechat(微信)を連絡&決済手段」として利用する現状につながっています。

※注釈1:「QQ」とはメッセージチャット・SNS・映画・音楽・ゲームまでもが包括的に楽しめる総合プラットフォーム・サービス。

Tencent 2019レポート表紙:QQとWechatアイコン

▲左のペンギンが「QQ」で右が『Wechat』のアイコン。

20以上の言語版を持つ

WeChat(微信)では日本語を含む20以上の言語版があり、受信したメッセージも右クリックで「翻訳」をできます。世界中にいる友人親族と簡単につながれるのも支持される要因の一つでしょう。

WeChatは中国大陸版と国際版 がある?

wechat introduction

画像:https://www.facebook.com/wechatapp/

WeChatには大陸版(中国国内)と国際版があります。
個人アカウントも、企業アカウントにも双方分かれており、テンセントは中国大陸版を微信(Weixin)と呼び、国際版をWeChatと呼ぶように分けています。微信(Weixin)は2011年1月、WeChatは2012年3月にリリースされました。

2つの違いは以下です。

【個人アカウント】

  • 国際版は大陸版と比較すると、ダウンロード直後は機能が限定的になっています。 例:クーポン機能、ウォレット機能など
    ※ただ最初にない機能も、例えば1度お金を受け取ったり、言語設定を中国語にすると、ウォレット機能が新しく使えるようになるなど、徐々に追加されていきます。
    私も日本でダウンロードした際はウォレット機能がありませんでしたが、お金を送ってもらうと機能が追加されました。
  • ダウンロード時に国際版か大陸版かは、基本は「登録の電話番号」で決まりますが、「アプリの設定言語」などの他要素で変わることもあるようです。
  • 大陸版は、国際版の企業公式アカウントを閲覧できません。一方国際版は、大陸版と国際版の企業公式アカウントの双方を閲覧できます。

【企業アカウント】

  • 国際版アカウントを中国ユーザーが見ることができないため、中国向けプロモーションは大陸版アカウントで実施となります。
  • 国際版では認証を受けたサービスアカウントでも、WeChat payment、wifi、クーポン、シェイクなど一部機能が拡張されません。
  • 大陸版は中国法人経由の申込(代理店を通すなど)が必要で、国際版は直接申込が可能です。国際版は直接申込が可能な代わりに企画書が求められます。
  • 社内コミュニケーション向けの企業版アカウントは大陸版のみです。

WeChatはインバウンドにおいて重要?

wechat customer journey
  1. 中国では利用ユーザー数が伸び、今後ますますインフラとして使われていきます。
  2. 訪日前:企業が発信する情報や、旅行アカウントをフォローして情報収集をします。また友人の旅行投稿を参考にしたり、インフルエンサーの口コミの投稿情報も確認します。
  3. 訪日中:友人に買いたい商品が正しいか家族に確認したり、今見つけた面白い商品を共有したりと旅行中も欠かせないアプリになっています。スマホ片手に買い物をする中国の方を見てみると、WeChatを開いている方は多いです。
  4. 訪日後:旅先の思い出だけでなく、戦利品をシェアすることもあります。更に興味を持った企業のアカウントをフォローし、欲しい物が見つかればECサイトで購入するといった方々が沢山いらっしゃいます。

インバウンド向けPRに今後WeChat活用はますます重要になってきます。

WeChatから学ぶこと

中国の生活、上海の今

既にGDPが世界第二位となっていること、デジタルのテクノロジーが世界を牽引している事実を省みると、Wechatを使うことで学ぶことを挙げてみます。

既読がつかずストレスフリー

LINEだと「メッセージ読んだよね?!」「なんで読んでないの?」などといったいざこざは少なからずあります。既読機能がないのは本当に良い点だと思います。

無料ステッカーの使いやすさ

WeChat(微信)は商用アカウントの友だち追加なしに使えるステッカー(スタンプ)がたくさんあります。宣伝メッセージが増えてごちゃごちゃすることがなく、チャット一覧画面はかなりスッキリしています。

Wechat(ウィーチャット/微信)ステッカー追加画面

▲何人の友達がそのステッカーを使っているかも一目瞭然。

新機能・動向に目が離せない

ボイスメッセージ・ビデオ通話などの機能リリースがLINEより早く、日本国内でも家族とのビデオ通話やボイスメッセージが便利でした。

最近では24時間で消えるストーリーのような動画投稿「タイムカプセル」機能もリリースされています。益々便利な機能が追加されることでしょう。今後の動きに目が離せません。

Wechat(ウィーチャット/微信)タイムカプセル

デメリット

世間ではFacebookの個人情報漏洩(朝日新聞)や米個人情報収集(日経新聞)など多種多様な問題があります。どんな国もサービスも結局は「人」が運営しています。Apple StoreやGoogle Play内にあるアプリでも、危険なアプリは潜んでいます。

中国人に話を聞くと、SNSやキャッシュレスにより個人情報は完全に国の支配下にある。と断言します。具体的に、個人の資産、貯蓄がいくらあり、どういった収支を行っているかが完全にデータ化されています。これはマーケティングを昂じる上でも次の打ち手として有効に国が活用できます。

マイナンバーの施工でも大騒ぎする日本では考えられませんよね。しかしながら中国人はその支配下のデメリットよりも使うメリットの方を重視します。日本と異なり田舎ほどECの普及が進みキャッシュレスの恩恵を受けているそうです。

まとめ

今回はほとんどの中国人が使うメッセンジャーアプリWECHAT(微信/ウィーチャット)をご紹介しました。今後は個人利用のみならず、中国人向けにマーケティングをするのであれば欠かせないツールの一つと言っても過言ではないでしょう。新しい機能が続々増えている中、情報をキャッチアップするだけでも、情報リテラシーを学ぶこと、デジタルマーケティングを学ぶことに利点と言えるでしょう。

最近ではTikTokの利用制限が話題となっていますが、情報化社会で情報の受発信が手軽になった一方、各社「情報漏洩」のリスクと常に隣り合わせであることを忘れてはいけません。ユーザーが正しく理解した上で各種サービスを利用することでデジタルとの共存をしていくことができるといいですね^^

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