【コロナと働き方改革のカギ!】テレワーク・在宅勤務の違いとは?

近年、働き方改革が推進されている中で「テレワーク」という働き方に注目が集まっています。テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用することで、場所や時間にとらわれずに働く勤務形態のことです。

テレワークの種類はモバイルワーク、在宅勤務、サテライトワークと大きく分けて3つあり、それぞれ勤務する場所が異なります。

今回は、それぞれの概要を説明するとともに、メリット・デメリットについてもご紹介いたします。

注目される背景は働き方改革

昨今では、モバイルワークを含めたテレワーク、リモートワークなど、より柔軟な働き方が注目されています。この背景には、労働人口の維持・労働生産性の確保を目的とした働き方改革があります。

今さら聞けない!働き方改革とは?

働き方改革は「一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジ」と位置づけられ、政府主導のもとで行われる労働制度の抜本的な改革です。働き方改革関連法案をもとに推進されています。

働き方改革の目的は、少子高齢社会による労働力不足の問題の解決です。多様化したライフスタイルや働き方に柔軟に対処することで労働人口を確保し、生産性を維持していく狙いがあります。

働き方改革が必要となった背景

働き方改革が必要となった背景として以下の3つが挙げられます。

生産年齢人口の減少

少子高齢社会により生産年齢(15~64歳)人口の減少が急速に進み、内閣府のHPによると90年後には生産年齢の人口が現在の半分になると予測しています。

そのようなリスクを避けるためにも政府は多様な働き方を可能にし、労働人口を確保する目的で働き方改革を進めているのです。

出典:内閣府|平成29年版高齢社会白書(全体版)

長時間労働問題

世界的に見ても日本の長時間労働は問題視されています。2013年には国連から是正勧告を受け、また、大手企業で相次ぐ過労死問題により、長時間労働の是正が求められました。

生産性の向上

労働生産性とは、労働者1人あたりが1時間で生み出す成果を指標化したものです。日本は労働生産性が低く、先進7カ国中では最下位です。

長時間労働を美徳とする文化から脱却し、政府主導のもとで労働生産性の向上を目指す意識改革が行われています。

出典:日本生産性本部|労働生産性の国際比較 2018

モバイルワークとは?

上記の流れからまずはモバイルワークの概要について見ていきましょう。

いつでもどこでも働ける働き方のこと

モバイルワークとは、カフェや移動中の電車内など、いつでもどこでも業務可能な働き方のことを指します。モバイルワークは、ICT(情報通信技術)を活用して時間や場所に縛られずに働くテレワークのひとつであり、在宅勤務とは区別されます。導入すれば業務効率化に寄与するという導入メリットがある一方、セキュリティリスクが高まるなどのデメリットもあります。

モバイルワークが向いている職種は?

モバイルワークは、外出が多い営業職などで有効といわれています。

ノートPCやタブレット、スマホといった端末を使って、移動中に顧客と商談を進めたり外出先から社内のデータにアクセスするといった,より自由度の高い働き方ができるからです。

モバイルワークを導入する5つのメリット

モバイルワークは働く人から見ると、主に以下のようなメリットがあります。

  • 業務効率・生産性の向上
  • コスト削減
  • ムダな移動の削減
  • ワーク・ライフ・バランスの向上
  • 良質な人材の確保

詳細に関しては次のサテライトワーク、在宅勤務でも解説していきます。

サテライトワークとは?

続いてサテライトワークをご紹介します。

サテライトワークとは、本社以外で働く場所「サテライトオフィス」を用意し、そこで働くことを指します。サテライトオフィスとは、本社や支社ではない小規模オフィスや、遠隔勤務用の施設のことを指します。勤務者がサテライトオフィスでも本社や支社と同様に働けるよう、通信環境が整備されているのが一般的です。

モバイルワークとサテライトオフィスとの違いは、サテライトオフィスは「働くための施設」であるのに対し、モバイルワークは働く場所ではないということです。サテライトオフィスは安定した通信環境で働きたい、といった職種が向いています。例えばコールセンターやSEなど、顧客対応を業務とする職種です。

サテライトオフィスと支社の違い

「本社ではないオフィスなら支社と同じでは?」と思う方も多くいらっしゃると思います。では、次はサテライトオフィスと支社の違いについて解説していきましょう。

両者において、基準とされる明確な違いがあるというわけではありません。多くの場合、「サテライトオフィスは働き方に対応することが目的であるため必要最低限の機能を保持しているが、支社はその場所で業務を進めることが目的であるため組織の機能を保持している」と紹介されています。簡単にいえば、支社をさらにコンパクトにしたオフィスがサテライトオフィスということになります。

サテライトオフィスの種類

サテライトオフィスには、オフィススペースの契約形態で「専用型」と「共用型」の2つの分類があります。

専用型サテライトオフィス

1つが「専用型サテライトオフィス」です。これは自社や自社のグループ専用の施設として利用するタイプです。社員は在宅勤務のように施設で業務ができるほか、営業活動の移動中や出張中なども立ち寄って作業が行えます。専用型には、事業所とは別に設置する場合と、事業所内に専用のスペースを設ける「スポットオフィス」があります。

共用型サテライトオフィス

もう1つが「共用型サテライトオフィス」です。これは複数の企業が共同で利用するオフィススペースです。「シェアオフィス」や「コワーキングスペース」と呼ばれています。企業やフリーランスで働く人、個人事業主、起業家などが一定の契約のもとにオフィススペースを共有して仕事をします。共用型のサテライトオフィスのなかには、情報交換会やイベントを開催している施設もあります。

サテライトオフィスを活用するメリット

サテライトオフィスには働く人から見ると、主に以下のようなメリットがあります。

移動時間が削減できる

サテライトオフィスでの勤務では、移動時間の削減が見込めます。例えば、顧客に近い場所に施設があれば、顧客先から帰社するための移動を減らすことができます。顧客からの要望に素早く応えることも可能です。

また自宅に近い場所に施設がある場合には、会社のオフィスに出社する必要がなくなります。通勤時間の節約にもなるので、その分を仕事に使ったり、満員電車のストレスから解放されたりすることで生産性が高まることが見込めます。

地方でも勤務ができる

「Uターン」と呼ばれる、地方出身で地元に戻って働きたい人や「Iターン」と呼ばれる、首都圏で生まれ育ち、地方に移住して働きたい人であれば、希望する地方にサテライトオフィスが設置されていると、転職や退職をすることなく同じ会社で働くことができます。

総務省では、ベンチャー企業を対象にして、地方での仕事や新しい働き方を生み出すことを目指しサテライトオフィス開設を推進する支援策「お試しサテライトオフィス」や、地方のサテライトオフィスなどのテレワーク環境を整備する地方自治体や企業に対し費用の一部を補助する事業「ふるさとテレワーク推進事業」に取り組んでいます。こうした流れを受けて、地方でのサテライトオフィス開設を進めている企業が増えています。

家族を気にせずに業務ができる

もし在宅勤務で働くとなった場合には、仕事中に家族から家事を頼まれるようなことも考えらます。そうなるとは仕事が中断され、生産性が落ちることになりかねないでしょう。しかし、サテライトオフィスであれば、そうした邪魔が入ることはありません。

なかには、テレワークでは自宅に仕事を持ち込むことを望まない家族がいる社員もいます。サテライトオフィスがあれば、そうした人でも家族への配慮をしなくて済み、同居人の生活リズムを崩すことなく仕事ができます。

サテライトオフィスのデメリット・注意点

一方、サテライトオフィスでは、主に以下のようなデメリットがあります。

セキュリティーの問題

共用型のサテライトオフィスの場合には、他人とスペースを共有するため常にセキュリティーを念頭に置くことが重要になります。例えば、PCやスマホの画面をのぞき見をされないようにする、会社との連絡や顧客先と商談といった会話の内容がほかの人に漏れたり聞かれたりしないようにするといったことが想定されます。

セキュリティーを常に意識していなければ、個人情報や自社の重要な経営情報などの漏えいにつながる危険があります。同様に、使用するノートPCやタブレット、スマホなどの端末の紛失や盗難にも気を付けなければいけません。

コミュニケーション

サテライトオフィスで働く場合、会社との連絡には携帯電話やインターネットを使ったコミュニケーションツールなどを利用します。携帯電話やコミュニケーションツールを使えばリアルタイムでさまざまな連絡をとることができます。

しかし、実際に対面して同僚や上司と話し合うのと同じ効果は得られるとは限りません。そのためコミュニケーション不足にならないように気を配ることが大切です。これは在宅勤務やモバイルワークにも共通している課題です。

ルール・勤怠管理

サテライトオフィスでは、個人の業務管理が重要です。そのため、オフィスで働くときよりも業務や時間に対する自己管理が求められます。

例えば、担当する業務が決められた締め切り日に完了する、または成果物が得られるようにするための業務計画を策定し、上司や同僚と共有するなどの行動を、自ら能動的に取り組んでいくなどが考えられます。

企業としてもルールや管理規則の整備を行うことでより円滑な業務体制を支えます。

在宅勤務とは?

テレワークの最後の一つの要素が、在宅勤務です。

自宅を就業場所として働く働き方

在宅勤務とは、会社のオフィスに出勤をせずに、自宅を就業場所として働く勤務形態のことをいいます。主にノートPCなどのIT機器を使って作業し、会社との連絡は、インターネットを使ったコミュニケーションツールや電話、FAXなどを使って行います。

今のところ、毎日在宅勤務で一切出社しない…というよりは、対象の社員に対して週に1~2日ほどを実施しているところが在宅勤務を導入企業している企業では多いようです。職種はエンジニアやプログラマーなど、パソコンを使う専門職の人が向いているといわれていますが、他にもさまざまな職種で実施されています。

在宅勤務が加速する背景とは?

昨今では、コロナウィルスの影響で、在宅勤務やモバイルワークなど、より柔軟な働き方の実現が進んでいます。在宅勤務制度の目的は主に労働人口の減少に対応するための施策であるとされています。

働き方改革の目的は長時間労働の是正や労働生産性の向上を目的としており、これらの問題点も在宅勤務を含めたテレワークを導入することで解決できます。

知っておきたい!在宅勤務の3つのメリット

在宅勤務は働く人から見ると、主に以下のようなメリットがあります。

業務効率や生産性が向上

会社のオフィス勤務で働いている場合には、予定外の打ち合わせや会議、顧客からの連絡などで業務が中断されてしまうことが多々あります。そうなると、集中して業務に取り組めません。

在宅勤務ではこうした中断を減らせます。業務を遂行する集中力を高く維持でき、業務効率や生産性の向上につながるでしょう。

経費削減

在宅勤務を導入することで、社員がわざわざオフィスに交通費をかけて行く必要がないので、通勤や移動にかかるコストを削減できます。

会社のオフィスで働く人のなかには、満員電車や長距離移動等で、通勤に関して肉体的な疲労や精神的なストレスを感じている人もいるでしょう。在宅勤務の場合、基本的にはオフィスに出社する必要がなくなります。そのため、通勤や移動による肉体的・精神的な負荷を軽減でき、結果的に企業の生産性向上にも寄与します。

人材確保

在宅勤務制度は、ワークライフバランスに長けた制度です。育児期間中の社員や、介護が必要な家族がいる社員が利用することで、出社準備や通勤に利用していた時間を業務や家族の看病に充てられます。

社員によっては育児や介護のために退職や転職をすることなく働き続けることができ、企業にとっても経験豊富な人員を失うことがなくなるので、新たな人材確保の負担や、コストを削減できます。

在宅勤務の4つのデメリット

一方、在宅勤務には、主に以下のようなデメリットや注意すべき点があります。

勤務時間とプライベートの区分け

在宅勤務は自宅で仕事をするという性質上、仕事とプライベートの明確な線引きが曖昧になってしまうケースも少なくありません。家事などの合間に仕事をする場合に、都度準備や集中するために時間がかかってしまうと、時間の無駄になり、結果として夜遅くまで仕事をするなど長時間労働につながることも考えられます。

評価の難しさ

在宅勤務では、会社や上司が自宅で働く社員の業務の進捗を直接見れせん。そうなると、オフィスで勤務するときと違って、仕事の結果や成果物だけで評価をされることが考えられます。

業務上のコミュニケーション不足

会社のオフィスで顔を合わせていると、同僚、上司の雰囲気や様子からお互いの業務の進捗、優先度だけでなく、モチベーションの変化も察知できることが多々あります。しかし同じオフィス内にいない在宅勤務の社員では、この共有が難しくなります。これはモバイルワークやサテライトオフィスで働く場合にも共通している問題点です。

勤怠管理が複雑化する

在宅勤務の最大の問題点は、「いつ働いているのか」がわかりにくいという点です。勤務時間とプライベートの線引が曖昧になるということは、それだけ勤怠管理も曖昧になってしまうということです。在宅管理における勤怠管理は通常の場合に比べて大きく異なりますから、それを適応させるだけのコストがかかってしまいます。

まとめ

今回は、働き方改革で推進されている「テレワーク・在宅勤務」という働き方の違いについてそれぞれの概要を説明するとともに、メリット・デメリットについてもご紹介いたしました。

企業・従業員双方にメリットありコロナの影響で導入が進んできたリモートワークですが、よりよい業務や生活を築く手段として、リモートワークは有効な手段と考えられます。リモートワーク導入のためには、社内ツールの構築や環境整備など取り組むべき課題もありますが、生産性向上や働き方改革を実現させるためにも検討する価値は十分にあるでしょう。

自分らしく自由で楽しい生活を手に入れるためにもこれからの更なる進化に期待していきましょう^^

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